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 SUBARU(スバル)は水平対向ガソリンエンジンを将来にわたって存続するため、最大の弱点を解消する(図1)。次期型でリーンバーン(希薄燃焼)を実現し、弱点の燃費性能を大幅に高める方針だ。燃費規制が厳しくなる中で廃止もあり得ると見えた水平対向ガソリンエンジンだが、“スバルらしさ”の根幹と位置づけて生き残りを図る。

図1 水平対向ガソリンエンジン
図1 水平対向ガソリンエンジン
4気筒品では左右に2気筒ずつ配置する。気筒を立てて置く一般的なエンジンに比べて重心高を下げられる一方で、横幅は大きくなる。(出所:スバル)
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 2020年後半に投入予定の次期「レヴォーグ」に搭載する水平対向エンジンで、空気の比率を高めた混合気を燃やす希薄燃焼を実現する(図2)。燃焼温度を抑えた上で比熱比を高めて、熱効率を大きく向上できる。トヨタ自動車やホンダ、マツダが到達する「最高熱効率40%超え」を視野に入れ、世界トップグループに追いつくことを目指す。

†比熱比=定圧比熱と定積比熱の比で、比熱比が高まるほど理論熱効率が高まる。比熱比は分子固有の値で、混合気に空気を多く入れると、大きくなる。

図2 次期レヴォーグの試作車
図2 次期レヴォーグの試作車
2019年の東京モーターショーで発表した。(日経クロステック撮影)
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 スバルでパワートレーン開発を統括する執行役員の江里口磨氏は、日経クロステックの取材に対して「開発は最終段階」と話し、順調に進んでいると明かした。「水平対向エンジンをやめる考えは全くない」(同氏)。

 水平対向エンジンは気筒を寝かして水平方向に置く方式。他社で一般的な気筒を立てて並べる直列方式に比べて、重心を低くして走行性能を高められる。

 一方で、燃費は悪くなりがちだ。エンジンの横幅が広がるため、車両に搭載する際はピストンのストローク(行程)を抑える必要がある。行程が短い「ショートストローク」になり、回転数を上げられるが熱効率は低くなりやすい。現在、水平対向エンジンを採用するのは、スバルとドイツ・ポルシェ(Porsche)くらいである。

 江里口氏は次期型の開発に際して、水平対向をやめて「そういう(直列化するという)発想は当然あった」とも明かす。それでも水平対向エンジンにこだわるのは、スバルの象徴と考えることに加えて、燃費を改善して世界のトップ水準を狙える目算があったからだ。その中核技術が希薄燃焼というわけである。

 水平対向をやめれば、車両プラットフォームを刷新する必要があり、開発費が莫大になることも大きい。「(燃費規制がもっと厳しくなる)2030年、2040年になれば、水平対向をどうするのか議論があるかもしれない」(江里口氏)とも見るが、しばらくは十分な競争力を維持できると判断した。