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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2020年2月29日、種子島宇宙センターの固体ロケットモーター燃焼試験設備で現在開発中のH3ロケットの固体ロケットブースター「SRB-3(Solid Rocket Booster 3)」の第3回燃焼試験を実施した。結果は良好で、これによりSRB-3の燃焼試験は終了した。

(撮影:松浦晋也)
SRB-3燃焼試験の様子
SRB-3は横位置で固定し、海に向かって噴射する
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SRB-3燃焼試験(動画)
(出所:JAXA)

 SRB-3は基本部分がそのままJAXAの小型固体ロケット「イプシロン」の次期バージョンで第1段としても使用される。H3とイプシロンの両方にSRB-3を利用して量産によるコスト低減を図るためだ。

 SRB-3とイプシロン1段はモーターケースや推薬は共通だが基部の構造物やノズルは異なる。最大の相違点はSRB-3がノズル固定式なのに対して、イプシロン第1段はノズルの向きを変えて噴射方向を変化させる推力偏向制御(TVC)機構を持つところ。今回の試験ではSRB-3にTVC機構を持つノズルを装着した型式で実施し、燃焼中にノズルを最大動作角である5.5度まで振って、推力偏向が予定通りに行えることも確認した。

試験後のSRB-3供試体ノズル部分
試験後のSRB-3供試体ノズル部分
上部が黒くなっているのは噴射終了後も残った炎が焦がしたためで異常ではない。宇宙空間と異なり、1気圧の地上試験ではモーターケース内壁に張ってある断熱材が空気中の酸素で燃えてしまう(撮影:松浦晋也)
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 今後は実物大供試体による第1段からの分離試験(2回目、1回目は2019年5月23日に実施済み)を行った後、2020年度中(2021年3月まで)に打ち上げが予定されるH3初号機に装備されることになる。