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 世界各地で動き出したマイクログリッド。日本を含む先進国では災害時対応の視点で、アジアやアフリカの無電化地域では電力供給の手法として、様々なプロジェクトが進んでいる。ここでは、日経BP 総合研究所が発刊した「世界エネルギー新ビジネス総覧」から、欧米、オーストラリア中心に、マイクログリッドプロジェクトの先進事例を紹介する。

 マイクログリッド構築と事業化に向けた試みが、世界各地で動き出した。アジア・アフリカの各国における系統網が敷設されていない未電化のオフグリッド地域で、太陽光発電などの再生可能エネルギーと蓄電池を活用したマイクログリッドを構築して電力を供給するプロジェクトが相次いでいる。

 先進国でも、オーストラリア内陸部の鉱山や離島などのオフグリッド地域や、台風や山火事などの被災地域で、ディーゼル発電と再エネを協調運転するタイプのマイクログリッドの建設が活発化している。レジリエンスが高まることに対して課金するビジネスモデルの検討も始まった。

 日本も近年、台風や地震による大規模な停電を経験したことから、改めてマイクログリッド構築の機運が高まり、制度設計の検討がスタートした(「マイクログリッドを実現する『配電事業者ライセンス制』を考える」参照)。

 オフグリッド地域の中でも、電力に全くアクセスできない未電化地域に居住する人口は世界で約12億人いると見られ、そのうち6億人がサブサハラアフリカ(サハラ砂漠以南の諸国)に住んでいる。課題は資金調達であり、さまざまな金融支援プログラムが提案されている。

アフリカで太陽光と蓄電池によるマイクログリッドで電力供給

 例えば、再エネ関連の金融支援機関であるREPP(Renewable Energy Performance Platform)はサブサハラアフリカ諸国の未電化地域における20以上の太陽光発電やマイクログリッドプロジェクトに、これまでに1310万ドルを提供している。2023年までに123MW分、35万7000人に電力を供給する計画である。

 REPPが金融支援しているプロジェクトの1つが、米Powerhiveがケニアで進めている未電化村向けオフグリッド事業である。同社は、アジア・アフリカ地域の未電化地域に電力供給ソリューションを提供する目的で2011年に設立されたスタートアップ。同社のソリューションの特長は、需要家はプリペイド方式で料金を支払い、電気を使った分だけその都度料金が引かれていく「PAYG(Pay-As-You-Go)」モデルを採用して、事業リスクを低減できる点である。

 そのために、各需要家宅にはPAYGモデルを実現するためにスマートメーターを設置し、電力消費量と料金をリアルタイムで見える化できるようにしている。また、マイクログリッドの電力制御のために、クラウドベースのプラットフォームや、各需要家の電力消費などの状況を分析してマッピングするソフトウエアを開発した。

 Powerhiveはまず、ケニア・Kisii郡の未電化村で、合計80kWの太陽光発電システムと蓄電池システムから成るマイクログリッド実証プロジェクトを実施し、約300の住宅および事業者施設に電力を供給した(図1)。これが評価されて、ケニア政府から電力事業者のライセンスを取得し、現地法人Powerhive East Africaを設立。未電化地域への電力事業を本格化させている。

図1●ケニア西部のKisii郡の未電化地域に設置されたマイクログリッド設備
図1●ケニア西部のKisii郡の未電化地域に設置されたマイクログリッド設備
米First SolarのCdTe(カドミウムテルル)型太陽光パネルを合計80kWと、夜間の電力供給と需給コントロールをするために大型の蓄電池(詳細未公表)を設置(出所:Powerhive)