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 「新型コロナウイルスの感染拡大で、日本や中国をはじめとする世界中などから問い合わせが急増している。感染者に対しては心から気の毒に思っているが、当社には大きな事業機会が突然現れた」。リモート接続サービス世界大手である独チームビューワー(TeamViewer)の取締役会メンバー兼CFO(最高財務責任者)、ステファン・ガイザー(Stefan Gaiser)氏は2020年2月26日、日経クロステックの単独取材に応じ、こう明かした。

独チームビューワーのステファン・ガイザー取締役会メンバー兼CFO(最高財務責任者)
独チームビューワーのステファン・ガイザー取締役会メンバー兼CFO(最高財務責任者)

 同社はPCやスマートフォンから端末を遠隔操作できるリモートデスクトップを中核に、IoT(インターネット・オブ・シングズ)機器の操作ツール、AR(拡張現実)を使った顧客や他部門の同僚への支援ツール、ビデオ会議システムなどを展開する。リモート接続サービス「TeamViewer」のインストール数は世界で20億超。年間で動いているデバイスは3億2000万台。46万の契約ユーザーを持ち、2019年の売上高は前年比41%増の約3億2500万ユーロ(約390億円)だ。

 欧州のユニコーン(推定企業価値10億ドル以上の未上場企業)の1社だったが、2019年9月にフランクフルト証券取引所に上場した。「2019年の欧州最大の新規株式公開」とされる。イタリアを中心とする欧州での新型コロナウイルス感染の急拡大が問題となった2月末から3月頭にかけて同社の株価は急上昇した。

 2018年に日本支社を設立した。日本での有料ユーザー数は1万6000以上。「グローバルの目標値である収益30%増を上回る成長を日本市場で目指す」とチームビューワージャパンの西尾則子カントリー・マネジャーは力を込める。新型コロナウイルスの流行で企業の感染症対策が想定以上に進んだことが日本支社にも追い風となっている。

4000万台のデバイスが常時接続

 TeamViewerのようなリモート・デスクトップ・ツールがテレワークで効果を発揮するのは、導入企業における準備作業などが少なくて済む点だ。パソコンにTeamViewerのクライアントソフトウエアをインストールするだけで、そのパソコンをクラウド経由で社外から利用できるようになる。VPNなどを用意する必要がない。チームビューワーは世界80カ所以上に接続拠点を設けており、常時4000万台のデバイスが接続している。

 在宅勤務需要の急激な高まりを受けて、TeamViewerのこうした特徴が注目を集めているわけだが、「TeamViewerは単に在宅ワークを支援するだけではない」とCTO(最高技術責任者)のマイク・アイゼレ(Mike Eissele)氏は言う。

独チームビューワーのマイク・アイゼレCTO
独チームビューワーのマイク・アイゼレCTO

 「TeamViewerを使って自宅から職場に接続できるが、より重要なのは職場にある産業用機器にも直接アクセスできることだ」(アイゼレCTO)。発電設備や医療機器、工場設備、農業機械などのIoTデバイスもインターネット経由で遠隔地から監視したり、操作したりできる。新型コロナウイルス対策のテレワークというとオフィスワークだけが対象だと思われがちだが、製造現場などにも適用できる可能性があるというのだ。