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 電気自動車(EV)用の駆動モーター市場で存在感を高めている日本電産グループが、車載事業の成長に向けた次の一手として自動運転の領域で勝負を仕掛ける。小型軽量なミリ波レーダーを開発し、2021年秋に量産を開始する計画だ(図1)。

図1 日本電産エレシスが量産するミリ波レーダー
図1 日本電産エレシスが量産するミリ波レーダー
写真は中距離監視用だが、同一の部品を使って短距離監視用の品種も用意した。外形寸法は74×64×18mmと小さい。(撮影:日経Automotive)
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 日本電産はEV用駆動モーター市場で2030年までに35%の世界シェアの獲得を目標に掲げて攻勢をかける。日産自動車の幹部だった関潤氏を迎え入れ、2020年4月1日付けで社長に就任する。関氏によるトップダウンを進めるため、役員の大半を降格させるという異例の人事を2020年3月9日に発表したばかり。ドイツ・ボッシュ(Bosch)や同コンチネンタル(Continental)といったメガサプライヤーと戦いに備える(図2)。

図2 日本電産のEV用駆動モーター
図2 日本電産のEV用駆動モーター
インバーターや減速機と一体化した「e-Axle」として供給する。(撮影:日経Automotive)
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 今回、日本電産グループが量産を決めたミリ波レーダーも、メガサプライヤーが強い市場だ。加えて、低コストを売りにする中国メーカーも多く、勝ち抜くのは容易ではない。

 日本電産グループが手掛ける自動運転向けセンサーとしては現在、子会社の日本電産エレシスがミリ波レーダーとカメラを一体化したセンサーを生産中。一体型センサーと同様に、ミリ波レーダーの生産も日本電産エレシスが担う。

50ドル以下のコスト狙う

 競合ひしめくミリ波レーダー市場でどう存在感を高めるか。日本電産グループの戦略は、多くの受注を獲得したEV用駆動モーター事業と同じく“軽薄短小”を訴求することだ。

 自動運転やADAS(先進運転支援システム)向けのミリ波レーダーのコストは「この数年間で一気に下がり、中距離監視用で50ドル(1ドル=105円換算で5250円)以下まで落ちてきた」(ある自動車部品メーカーのセンサー担当者)という。中距離用ミリ波レーダーのコストは、3~4年ほど前は約100ドル(約1万円)の水準だった。

 「中国メーカーにもコスト競争で負けるつもりはない」――。日本電産の担当者がこう語るように、同社は50ドル以下をターゲットに開発を進めた。低コスト化に向けて日本電産が取り組んだのが、「部品の共通化」と「CMOS化」の2つである。

 日本電産エレシスは今回、2種類のミリ波レーダーを同時に量産する。中距離監視用の「MRR(Mid Range Rader)」と短距離監視用の「SRR(Short Range Rader)」である。同社の担当者によると、「アンテナの一部形状などは違うが、それ以外の主要な構成部品は共通化している」という。その証拠にミリ波レーダーの質量は115gで外形寸法は74×64×18mmと、MRRとSRRで同じである。