全2218文字

 トヨタ自動車が開発した、人に追従して自律走行するロボット「FSR(Field Support Robot)」。東京オリンピック・パラリンピックでは、陸上競技の投てき種目でハンマーや槍(やり)、円盤などの投てき物*1を回収・運搬する作業をサポートする予定だ。同社は現在もこのFSRの改善を進めているが、最大の課題は、「人とのコミュニケーション力」だという。

トヨタ自動車が開発した自律走行ロボット「FSR(Field Support Robot)」
トヨタ自動車が開発した自律走行ロボット「FSR(Field Support Robot)」
砲丸投げや円盤投げ、ハンマー投げなどの投てき競技で、選手が投げる投てき物を回収する作業をサポートする。写真はハンマー投げで使われるハンマーの球を回収する作業のデモンストレーション。(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
*1 投てき物:陸上競技で、物を投げてその距離を競う砲丸投げや円盤投げ、やり投げ、ハンマー投げなどの種目を総称して「投てき」という。これらの競技で選手が投げる砲丸や円盤などを「投てき物」と呼ぶ。
 

 FSRは既に、人への追従と自律走行についてはほぼ問題ない状況にある。ハンマー投げを例にとると、運営スタッフとの距離を2m程度に維持して追従し、待機位置から投てき物(ハンマー)の落下地点まで自律走行。スタッフが投てき物を拾い上げてFSRに積み込み、落下地点から選手が投てき物を投げる位置まで自律走行で戻る。投てきする位置にいるスタッフが投てき物を回収する。

FSRを使って投てき物を回収する流れ
FSRを使って投てき物を回収する流れ
待機位置から円盤やハンマーの球など投てき物の落下位置まで、スタッフの後ろを2mの距離を保って追従して自律走行。落下地点でスタッフが投てき物をFSRに積み込む。FSRは選手が円盤などを投てきする位置まで自律走行して、スタッフが投てき物を回収。FSRは再び待機位置まで自律走行して戻る。走行中はスタッフや障害物を回避して走行する。(出所:トヨタ自動車) 
[画像のクリックで拡大表示]

 現状ではハンマーなどの投てき物を、運営スタッフが落下地点から手作業でファウルゾーンに運び出し、無線操縦車を使って選手の投てき位置近くまで戻している。これに対してFSRを活用すれば、投てき物はFSRが運ぶので、運営スタッフは重量物をFSRに積み込むだけで、ファウルゾーンまで移動する労力を軽減できる。無線操縦車を操作するスタッフもいらない。