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 東芝デバイス&ストレージ(東京)がマイコン製品を大幅に拡充する(ニュースリリース)。多数の新製品を投入し、マイコン製品を一新する狙いのようだ。40nmプロセスで製造する200MHz動作の高性能製品や、日本製のフラッシュメモリーを集積する高信頼性製品などを発売した。

マイコン製品のロードマップ
マイコン製品のロードマップ
今回の新製品は右側にある青いボックスの6シリーズ。(出所:東芝デバイス&ストレージ)
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 同社の半導体事業は「ディスクリート半導体」(同社の呼称)と「システムLSI」(同)から成る。このうち、システムLSIでは、車載デジタルIC(「Visconti」など)とアナログIC(モーター制御IC、電源IC、CCDセンサーなど)、マイコン(MCU)の3つを開発・販売する。売上高の比率は、それぞれ約3分の1ずつである(2018年度実績)。

「システムLSI」事業の売り上げ
「システムLSI」事業の売り上げ
MCU(マイコン)と車載デジタルLSI、アナログICの売上高がそれぞれ1/3。東芝デバイス&ストレージのスライド。(出所:東芝デバイス&ストレージ)
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 現在のマイコン製品は、英アーム・ホールディングス(Arm Holdings、以下Arm)の32ビットCPUコアをベースにした「TXファミリー」/「TXZファミリー」と、独自の8ビットCPUコアをベースにした「TLCSファミリー」の2種から成る。今回、それぞれで新製品を投入した。Armコアベース製品では新たに「TXZ+ファミリー」を加えた。

 TXZ+ファミリーには外部ファウンドリーの40nmプロセスで製造する「アドバンスクラス」製品と、東芝デバイス&ストレージの完全子会社であるジャパンセミコンダクター(岩手県北上市)の130nmプロセスで製造する「エントリークラス」製品から成る。アドバンスクラスはTXZファミリーの上位製品に、エントリークラスはTXファミリーの上位製品に位置付けられる。TXZ+ファミリーの第1弾製品は、2020年度第2四半期から順次サンプル出荷を開始する予定である。

 一方、独自8ビットコア「870/C1シリーズ」をベースにしたTLCSファミリーでは、今回、新たに「TLCS-870/C1Eシリーズ」を加えた。TLCS-870/C1Eシリーズも、ジャパンセミコンダクターの130nmプロセスで製造することから、TXZ+ファミリーに倣(なら)ってエントリークラス製品と位置付けている。TLCS-870/C1Eシリーズの新製品は2020年3月末から、順次サンプル出荷を開始する予定である。

 以上のように、製造プロセスの視点では、今回の新製品は40nmプロセスのアドバンスクラスと、130nmプロセスのエントリークラスに分けられる。前者の特徴は高速・高性能で、Cortex-M4ベースの製品「TXZ4A+シリーズ」では最大動作周波数が200MHzの品種があったり、モーター制御などで役立つベクトル処理アクセラレーターを集積した品種があったりする。また、65nmプロセスのTXZファミリーに比べて、40nmプロセスのアドバンスクラス製品は動作電流が約30%少ないという。

 後者の130nmプロセスのエントリークラス製品の特徴は、低コストなことに加えて、同社では初めて、フローディア(東京)のSONOS(Silicon Oxide Nitride Oxide Silicon)構造のフラッシュメモリーIP「LEE Flash G1」を集積したことである(関連記事「不揮発メモリー混載SoCを難なく開発、国内ベンチャーが新フラッシュIP」)。LEE Flash G1は、マイコン集積向けで一般的な米シリコンストレージテクノロジー(Silicon Storage Technology;SST)のフラッシュメモリーIPに比べて、書き換え可能回数が多かったり、データ保持期間が長かったりするため、マイコンの信頼性を高めることができるという。