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 カシオ計算機は生産技術力向上の施策として製品の内製化を改めて進めている。「プロセスの標準化を進め、全ての品目についてマザー工場である山形カシオに試作ラインを設け、海外を含めた拠点に展開する」(カシオ計算機生産本部長で執行役員の矢澤篤志氏)方針だ。同社が2017年に設立した生産本部の主導で、複数の製品群で生産の自動化やIoT(Internet of Things)による見える化、人工知能(AI)を応用した検査の導入などを推進。EMS(Electronics Manufacturing Service)への生産委託の比率を減らして内製率を高める。自らの技術で原価低減と品質確保を進め、製品の競争力を高める狙いがある。

図1 カシオ計算機の生産技術力向上の取り組み
図1 カシオ計算機の生産技術力向上の取り組み
さまざまな製品で生産自動化やIoT導入、AI導入に取り組む(カシオ計算機への取材を基に日経クロステックが作成)
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 同社はこれまで、自動化装置を多く取り入れた関数電卓生産ラインをタイの生産拠点で本格的に運用する他、普及価格帯の時計の完全生産自動化、楽器(電子ピアノ)製造のEMS委託から内製への切り替えなどを進めてきた。今回同社が明らかにしたのは、その続きに相当する取り組み。電子ピアノは中国拠点で鍵盤組み立てを自動化し、関数電卓は自動化率をさらに高めたラインを国内(山形カシオ)に設置し生産を開始する。並行してIoTによる複数拠点の生産状況の集約、電子ピアノの打鍵検査へのAI応用、高負荷で稼働する設備に対して安価な故障予知システムの設置などを進める(図1)。

中国拠点で電子ピアノ鍵盤の組み立てを完全自動化

図2 鍵盤ユニットの組み立て完全自動化ライン
図2 鍵盤ユニットの組み立て完全自動化ライン
(出所:カシオ計算機)
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 中国・カシオ中山(広東省中山市)では、電子ピアノ「Privia PX-S1000/S3000」(2019年2月発売)の鍵盤ユニット組み立てを完全自動化した。Priviaは従来機種に比べて、奥行きで約60mm、高さで約40mmの小型化を図った機種。部品点数と工数も削減し、品質面での競争力とコスト競争力の両立を狙った。

 鍵盤ユニットは、グランドピアノのようなタッチの再現を目的にハンマー(おもり)を組み込んだ機構。シャーシ(骨格部品)の裏からハンマー、上からプリント基板、鍵盤などを組み付ける。この作業を多軸のスカラ―型ロボットで自動化した。製品の設計は、最初からこの自動化生産ラインへの適用を前提とした。

 この鍵盤ユニットについて、各鍵盤のタッチに違和感がないかの官能検査も自動化。従来は担当者が鍵盤全てを押し、変な音がしないかを聞いて確認していた。この打鍵音を不良品で学習させたニューラルネットワークを使い、正常音と異常音を区別するシステムを構成。合わせて打鍵作業を機械化し、異音に対して99.6%の確率で異音と判定する検査システムを自社開発した。

図3 鍵盤ユニットの部品
図3 鍵盤ユニットの部品
シャーシに対して裏からハンマー、表から基板や鍵盤を組み付ける。(出所:カシオ計算機)
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