全1959文字

 カシオ計算機は、山形カシオ(山形県東根市)において関数電卓の生産を2020年秋までに開始する計画であると明らかにした。現在はタイの生産拠点(カシオタイ)で稼働している自動化ライン「H28」を改良し、自動化の度合いをさらに高める。山形カシオはマザー工場として改良したラインで実生産を手掛けるとともに、確立した技術をカシオタイに展開する。

内製化と同時に自動化

 山形カシオでは関数電卓を生産する全てのラインで自動化装置を採用する。具体的には、プリント基板の組み立て、サブアッシー組み立て、プラスチック成形品への印刷、完成品の組み立て、梱包の各工程で自動化の度合いを高める。大きくステップ1とステップ2の2段階で新規の自動化装置を導入していく考えだ。

 プリント基板の組み立てラインでは、SMT(表面実装)、COB(チップオンボード)、ACF(異方性導電フィルム)の各工程で自動化率を高める。SMT工程はカシオタイでは外部に依頼していたが、山形では内製化する。既存の設備を活用しつつ、タイでは手組みだった工程、具体的には部品の搭載前にブラシで基板を研磨する工程に自動化装置を導入する。

 その後に続くCOB工程、すなわち半導体チップを基板に直接載せて線で接続し、封止材をかぶせる工程では、自動化装置として封止機と検査機を新たに設置する。さらに、アルミ電解コンデンサーの足の長さを切りそろえ、基板に挿してはんだ付けする自動機(アルミ電解コンデンサー搭載はんだ付け機)も導入する。なお、基板は8枚を1組にしてキャリアーで搬送し、SMT工程もCOB工程も8枚ずつ処理するようにした。ここまでの自動化をステップ1で実施し、ACF工程(ACFによる液晶ディスプレイの基板への接合)の自動化はステップ2で実施する計画だ。

図1 プリント基板組み立て工程の自動化
図1 プリント基板組み立て工程の自動化
外注していたSMT工程を内製化し、COB工程・ACF工程は自動化を図る。(出所:カシオ計算機)
[画像のクリックで拡大表示]

 サブアッシー組み立てラインは、組み立て済みのプリント基板に液晶表示部を取り付け、さらに両面テープと補強用アルミ合金板(プレート)を貼る。従来、このラインは全て手組みだった。ステップ1では、両面テープ貼り付けの自動化装置を導入、テープを巻き取るスプロケットの形状を工夫し、巻き取り時のスリップを抑制する。貼り漏れ防止のためのカラーセンサーを搭載し、不良品を造り出さないようにした。これに加え、プレートを貼る自動機もステップ1で導入する。ステップ2ではライン先頭の検査工程を自動化する計画だ。

図2 サブアッシー工程の自動化
図2 サブアッシー工程の自動化
現状は人手作業だが、自動機を取り入れる。写真は両面テープ貼り付け機。(出所:カシオ計算機)
[画像のクリックで拡大表示]

 プラスチック成形品への印刷は、ボタンと、操作面側のケース(きょう体)表面に文字や数字を書き込むためのもの。カシオタイでは印刷済みの成形品を購買しているが、山形カシオでは内製化する。射出成形機からロボットで成形品を取り出し、シルクスクリーン印刷機またはタンポ印刷機(ゴム転写体を用いた凹面転写印刷)に自動的に供給する仕組みにする。

この記事は有料会員限定です

日経クロステック有料会員になると…

専門雑誌8誌の記事が読み放題
注目テーマのデジタルムックが読める
雑誌PDFを月100pダウンロード

日経電子版セット今なら2カ月無料