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 情報処理推進機構(IPA)は2020年3月、人工知能(Al)の最新技術動向や国内外の取り組みをまとめた「Al白書2020」を発行した。このうち第3章「利用動向」の中では、中国特集として、中国人工知能市場を取り巻く環境や地方政府のAI産業促進政策動向、応用展開事例等を取りまとめている。ここでは、その中から中国における大企業とベンチャー企業の最新動向およびAl人材の育成策を一部抜粋・編集して掲載する。

2018年~2019年BATの最近のAI事業拡張動向

 まず中国のリーディングカンパニーが手掛けるAI事業の最新動向からみていこう。BAT3社、すなわちBaidu(バイドゥ)、Alibaba(アリババ集団)、Tencent(テンセント)は2017年までにAI事業の基礎を既に構築している。2018年以降は社内の事業推進よりも、対外投資(M&A)に注力している。以下の図は2018年1月~2019年9月までの3社のM&Aをまとめたものである。

 最も対外投資に前向きだったのはBaiduであり、2019年も10件程度、AI関連の投資を行った。一方、Alibabaは2019年に入ってから投資件数を2018年の8件から2件へと減らしている。Tencentは2018年の対外投資件数は6件とやや少なかったが、2019年は7件に増えた。

図 2018年1月~2019年9月 BAT3社のM&A
図 2018年1月~2019年9月 BAT3社のM&A
(出典:各種公開資料を基に作成)
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 株式市場において、BaiduはAlibaba、Tencentの2社と比べ、時価総額の規模が小さく、かつ最近は後発企業複数社に追い越されてもいる。AlibabaとTencentは、企業規模を見てもどの企業にも負けない2巨頭になりつつあり、今後も他社に追い越されることは想像しにくい。ただし、AIに関してBaiduは先行投資をしておいたため、しばらく他社に対し優位を保てるといわれている。同社が「All in AI」戦略で攻勢を掛ける姿勢は依然と崩しておらず、今後もAlibaba、Tencent2社以上にAI産業に積極的に投資する可能性が高いとみられている。

表 BAT3社の時価総額比較
(出典:各種公開資料を基に作成)
表 BAT3社の時価総額比較
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