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 中国など他のアジア諸国に比べて日本のITエンジニアの年収は企業システム構築に携わると高い傾向にある。半面、AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といったデジタルトランスフォーメーション(DX)関連は低い――。

 英国に本社を置く人材紹介会社ヘイズ(Hays)の日本法人であるヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン(ヘイズ・ジャパン)が2020年2月に公表した「2020年ヘイズアジア給与ガイド」からこんな傾向が明らかになった。同ガイドの発行は今回で13回目となる。

 調査はヘイズが拠点を置く、中国や香港、マレーシア、シンガポール、そして日本で同社が支援した転職における年収の金額をまとめたものだ。経理や金融、製造など様々な職種や業種を対象としており、その中にITとデジタルテクノロジーもある。

 具体的にはITは業務システムの開発などに携わるサーバーサイドのITエンジニアやデータベース技術者、プロジェクトマネージャーなどを含む。一方のデジタルテクノロジーはAIやIoT、クラウドサービスなどのITエンジニアが対象だ。ヘイズはアンケート調査も実施して、転職やスキルに関する意識調査にも取り組んでいる。

日本のDBA、最高年収は1200万円

 業務システム開発に携わるITエンジニアの年収を分析すると、アジアの中で日本の年収が全体的に高い傾向があると分かった。詳細を見ていこう。

 .NETやJavaのエンジニアの場合、日本で最も高い転職の成約額(年収)は1000万円、最も低い成約額は600万円だった。これに対して日本に次いで高い傾向のある中国の転職成約額は円換算で最高額が880万円、最低額が480万円だった。最高額も最低額も日本が高いことから、日本の.NETやJavaのエンジニアの年収は高い水準にあるといえる。

各国における.NETやJavaのエンジニアの年収
各国における.NETやJavaのエンジニアの年収
英ヘイズ(Hays)の資料を基に日経クロステック作成。日本以外の年収はヘイズの調査レートを使って円換算した。グラフは左側の青が転職の成約額(年収)の最低額、右側のオレンジが最高額を示す(以下同)
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 同様に日本の年収が他国より高い水準にある職種がデータベースアドミニストレータ―(DBA)だ。日本はDBAの最高額が1200万円、最低額が800万円で、いずれもアジア諸国の中で最も高かった。

各国におけるデータベースアドミニストレータ―(DBA)の年収
各国におけるデータベースアドミニストレータ―(DBA)の年収
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 調査は今後の日本のITエンジニアの傾向について「プロジェクトをまとめてIT環境全体を管理できるビジネスアナリスト、プロジェクトマネージャー、チームマネージャーの採用が続くと見込まれる」と分析している。ビジネスアナリストやプロジェクトマネージャーの需要が高まることで、スキルと経験が高い場合は「給与も上昇するだろう」としている。

AIとIoTで日本の給与は低め

 日本のITエンジニアの年収が他の国や地域よりも高い水準にあるかというと必ずしもそうではない。デジタル分野では日本の年収は低めな傾向にある。

 例えばAI開発者の場合、日本の最低額はアジア各国より高めな600万円であるものの、最高額は1000万円であり、香港の1340万円(円換算)や中国の1280万円(同)より1割以上も低い。

各国におけるAI(人工知能)開発者の年収
各国におけるAI(人工知能)開発者の年収
成約の実績がなかったシンガポールは入っていない
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