香川県のネット・ゲーム依存症対策条例が2020年3月18日に可決された。18歳未満の子供がインターネットやゲームにのめり込む「ネット・ゲーム依存症」に陥らないための条例で、ゲームの利用時間に上限を設け、保護者はそれを守らせるように努め、通信事業者などは必要な対策を取ることとしている。例えば利用時間の制限は、ゲームは1日1時間(休日は90分)、午後10時まで(義務教育修了前は午後9時まで)となっている。
この条例にある通信事業者などが取る対策について、SNSなどのネット上では様々な議論が起こっている。その中で、ゲーム関連のサイトへのアクセスを遮断することは「憲法で保障する『通信の秘密』を侵害する」という指摘が出ている。通信の秘密については、2019年にも海賊版サイトへのアクセスを遮断するサイトブロッキングが侵害するのではないかと議論になった。ただ今回の条例は、通信事業者などは通信の秘密に当たらないのではないかとしている。どうして当たらないのだろうか。
フィルタリングソフトウエアを利用する
条例ではゲーム関連のサイトへのアクセス制限について、「フィルタリングソフトウエアの活用その他適切な方法により、県民がネット・ゲーム依存症に陥らないために必要な対策を実施するものとする」と書かれている。具体的に挙げている対策は、フィルタリングソフトウエアである。
また香川県が3月17日に公開した、条例のパブリックコメントとそれに対する回答では、「香川県青少年保護育成条例の規定と同様に、インターネット接続事業者によるフィルタリングサービスの提供や、フィルタリングソフトウエアのインストールなど」とした。県議会によれば、この回答は議会の検討委員会が用意したものだという。
香川県青少年保護育成条例とは、国の青少年ネット規制法や児童ポルノ禁止法などの内容を盛り込んだ条例である。基になった青少年ネット規制法は、犯罪行為を誘発したり、性的わいせつなコンテンツを載せたりしたサイトを18歳未満の子供が見られないように事業者が遮断するよう義務付けている。この遮断に使われているのが、スマートフォン本体などにインストールされたフィルタリングソフトウエアである。