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 オリンパスはAI(人工知能)を搭載した診断支援ソフトウエア「EndoBRAIN-EYE(エンドブレインアイ)」を、2020年5月下旬に国内で発売する。ディープラーニング(深層学習)によって開発したAIが内視鏡検査の映像中に大腸病変候補を見つけると、音と画面の色によってリアルタイムで医師に通知する。AIによる大腸病変の「発見」機能で医療機器として承認を得たのは国内初で、世界でも3例目になるという。

AIによる大腸病変の「発見」機能で医療機器として承認を得たのは国内初
AIによる大腸病変の「発見」機能で医療機器として承認を得たのは国内初
(写真:日経クロステック)
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 オリンパスが2020年3月2日に発表した。診断支援システムは「CAD(computer aided diagnosis)」と呼ばれる。CADは機能に応じて、(1)病変の疑いのある部位を検出する「CADe(computer-aided detection)」と、(2)病変候補の良性・悪性を鑑別する「CADx(computer-aided diagnosis)」に分かれる。今回のソフトウエアは病変を検出する(1)のCADeに該当する。

 オリンパスは1年ほど前の2019年3月8日に、(2)のCADxに相当するAI診断支援システム「EndoBRAIN(エンドブレイン)」を発売済み。大腸の内視鏡検査で医師が病変を拡大して撮影した画像(静止画)をAIで解析し、腫瘍かどうかをパーセンテージで医師に提示する製品だった。

 これに対して第2弾となる今回のEndoBRAIN-EYEは、内視鏡検査の映像(動画)中に病変が映っていると医師に通知する。臨床性能試験では感度(画像中に病変があるときにAIが正しく病変があると判定できる確率)95%、特異度(画像中に病変がないときにAIが正しく病変がないと判定する確率)89%を達成した。病変の見落としを減らすのに貢献する。

 2つの製品を併用することで、腫瘍の「発見」から「鑑別」までを一気通貫で支援できるようになった。EndoBRAIN-EYEで見つけた病変を医師が拡大表示すると、EndoBRAINに自動で切り替わり、腫瘍かどうかをパーセンテージで示す。