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 「感染爆発の重大局面に入っている。平日はできるだけ仕事は自宅で行っていただきたい」。小池百合子都知事は2020年3月25日、緊急記者会見を開き、新型コロナウイルス対策についてこう都民に呼びかけた。

中小企業のテレワーク機運高まる

 小池都知事の要請に企業が応じるには、ノートパソコンなどを使ってオフィス以外で働くテレワークをより多くの社員に提供する取り組みが欠かせない。在宅勤務はテレワークに含まれるからだ。

 「本格的に全社でテレワークを始める」という企業は少なくないようだ。企業に向けてテレワークの導入や推進の相談窓口を設けている日本テレワーク協会の富樫美加事務局長によると、2020年2月半ばから同協会のサイトへのアクセスが急増したという。

 「ここ最近は、問い合わせ件数が平時に比べて3~4倍に増えた。初めてテレワークに取り組むにはどうしたらよいか、公的な助成金を使ってテレワークを始めたいといった問い合わせが、中小企業を中心に多く寄せられている」。富樫事務局長は緊急テレワーク機運の高まりをこう明かす。

 そしてここに来てロックダウン(都市封鎖)の可能性も浮上してきた。「社員が出社できなくても事業を継続できる仕組みを可及的速やかに整えなければ」。こうした思いが中小企業を中心に広がっているとみられる。

緊急テレワークは労務管理とITの両面で整えてスタート

 これまでテレワークを本格的に取り組んだことがない企業が、全社規模で緊急で始めるにはどうしたらよいのか。日本テレワーク協会の富樫事務局長は「離れた場所で社員が仕事をできるようにするには、『労務管理』と『IT』のそれぞれで仕組みの整備が必要」とする。

緊急でテレワークを始めるときに整備すべき2つの仕組み
整備対象労務管理IT
概要営業活動や出張など社外で仕事をすることを踏まえた勤務規定であれば大幅に変更しなくてもテレワークを始められることが多いネットにつながる端末、ペーパーレス化、セキュリティーを確保したアクセス手段の3点を押さえて整えていく
詳細テレワークの対象期間、対象者、利用頻度、勤務管理の方法、テレワーク中にかかる通信費といった費用負担についてあらかじめ決めておく安価に始められるのは、社員の自宅からリモートデスクトップを使ってアクセスする方式。グループウエアクラウドの活用も有効

 最初の労務管理については、勤務規定の見直しや修正を進める。ただ大きく手を入れる必要はなさそうだ。「多くの企業は、営業や出張などにおいて社員が社外で仕事をすることを前提に勤務規定を策定している」(富樫事務局長)ため、テレワークを営業活動や出張と同じ「社外の仕事」と見なして、勤務規定を適用すればよい。

 ただし、テレワークの緊急実施に当たって新たに取り決めておく規則もある。「実施期間」「対象者」「テレワークの回数上限」「勤務管理の方法」「通信費などの費用負担」などである。

 このうち「対象者」については、企業の全社員まで広げにくいケースがある。例えば「機密情報を扱う社員は出社して機密スペースで社内システムを操作する必要がある」といったケースだ。