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 「売りたくても、売れない状況だ」(マツダ)――。新型コロナウイルス感染症が、世界の自動車販売に急ブレーキをかけた。新型コロナの世界的なまん延により、特に海外市場の自動車販売が急激に落ち込んでいる。これを受け、日本の自動車メーカーは、軒並み日本を含めた世界の工場を止める事態に追い込まれている。

 部品調達リスクを勘案しつつ、複数の車種を同じ生産ラインで造る「混流生産」を生かすことで、これまで工場の稼働を維持してきたマツダが、2020年3月28日から国内工場(本社工場と防府工場)の稼働調整に入る。同年4月30日までの期間のうち13日間は工場の稼働を停止し、8日間は1直態勢(昼勤)だけでクルマを生産する。

 海外では、メキシコの工場が3月25日から約10日間の計画で稼働を停止。タイの工場では3月30日から、同じく約10日間の計画で稼働停止に入る予定だ。

売れない、部品がない、先が見えない

 なにしろ、自動車メーカーは顧客に会えない。店舗が十分に開いていないからだ。マツダでは、米国の大都市圏にある店舗の5割程度が営業を停止中。欧州はさらにひどく、6割弱の店舗が休業状態にある。イタリアやスペイン、フランス、スイス、オーストリア、ポルトガルでは、全店舗がシャッターを下ろしている状況だ。

 店が開いてないからクルマを売れない。これに、物流の停滞や人の移動規制などで部品を調達できない問題や、「今後の市場環境の不透明さ」(マツダ)といった問題が加わり、自動車メーカーは計画通りにクルマを造ることができない。結果、工場の生産ラインを止めるしかないというわけだ。

マツダの世界の状況
2020年3月26日時点のヒアリング結果。(作成:日経クロステック)
マツダの世界の状況
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 ホンダも「世界経済の冷え込み」(同社)に苦しんでいる。同社は自動車(4輪車)だけではなく、2輪車からパワープロダクツ製品(発電機や耕うん機、除雪機など)まで幅広く製品を手掛けている。そのため、同社の生産拠点は世界中に広がっている。ホンダは3月18日にフランスの工場の稼働を停止した後、英国やイタリア、トルコといった欧州地域にある工場で生産を止めた。3月23日からは北米(米国とカナダ、メキシコ)の工場の稼働を停止した。東南アジア(フィリピンとマレーシア)の工場では3月17日以降に、インドの工場では3月23日から、南米(ブラジルとアルゼンチン、ペルー)では3月16日以降に工場の操業をやめている。

ホンダのメキシコの工場
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ホンダのメキシコの工場
(写真:ホンダ)

 ただし、「欧州も北米も、計画通り生産を再開できるかどうかは読めない」とホンダは言う。欧州では、例えばフランスの工場の稼働停止期間は3月31日まで、英国とトルコの工場のそれは共に4月5日までの計画だ。また、米国の工場では稼働を止めるのは3月30日までとなっている。だが、これはあくまでも3月26日時点における同社の計画にすぎない。新型コロナの感染は日増しに拡大しており、稼働停止期間が延びる可能性は十分にある。

ホンダの世界の状況
2020年3月26日時点のヒアリング結果。世界の広範囲で工場が稼働停止に追い込まれている。(作成:日経クロステック)
ホンダの世界の状況
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