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 新型コロナウイルスの感染拡大がスタートアップにも影響を及ぼしている。2020年3月27日には、英衛星通信スタートアップ企業のワンウェブ(OneWeb)がチャプター11(米連邦破産法11条)を申請した。ワンウェブにはソフトバンクグループが合計19億ドル(約2000億円)を投資していた。

 ワンウェブはプレスリリースで「あと少しで資金を得られるところだったが、新型コロナの感染拡大に関連した財務的な影響と市場の乱高下で進まなくなった」と述べている。同社は高度2000km以下の地球低軌道に約650基の通信衛星で構成される衛星コンステレーションを構築し、2021年の通信サービス商用化を目指していた。アドリアン・シュテッケル最高経営責任者(CEO)はプレスリリースで「当社は地球上のどこでも高速低遅延のブロードバンド接続を供給する、真にグローバルな通信ネットワークを構築していた。我々の現在の状況は新型コロナ危機の経済的影響の結果だ」と述べ、早期の事業売却を目指すとしている。

スタートアップの資金調達が困難に

 新型コロナによってスタートアップの資金調達に逆風が吹くという見方は強い。スタートアップ投資が活発だった背景にはここ数年の世界的な低金利と株式市場の活況があった。しかし世界の多くの国で新型コロナの感染拡大に歯止めがかからない今、経済のダメージは計り知れず、株式市場も低迷している。近年は多くの大企業がCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を設立してスタートアップ投資に乗り出していたが、そうした大企業が投資に慎重になる恐れもある。

 米調査会社CBインサイツは2020年1~3月における世界のベンチャーキャピタルによる投資は2019年10~12月と比べて2%減の360億ドルと予想する。新型コロナの流行にもかかわらず少し減った程度といえる。ただしCVCをバックにしたベンチャー投資はより大きく後退し、前期比17%減の330億ドルと予測する。

世界のCVCによるスタートアップ投資は急降下し始めた
世界のCVCによるスタートアップ投資は急降下し始めた
出所:CBインサイツ

 近年の旺盛なスタートアップ投資が新型コロナショックによって水を差されるという見方がある。その一方で、企業は厳しい情勢に対応するためにデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる必要があり、そのためにはスタートアップ投資がますます欠かせなくなるという主張も出てきている。