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 「車両のハンドリング、とりわけ冬季の条件において優れた性能を示した」。ドイツ・ダイムラー(Daimler)は、電気自動車(EV)「EQ」シリーズの第2弾となる高級ミニバン「メルセデス・ベンツEQV300」の市場投入に向けた最後の節目となる冬季試験を終了したと発表した(図1)。2020年下半期の市場投入を予定する。

図1 Daimlerの高級ミニバンEV「EQV」
図1 Daimlerの高級ミニバンEV「EQV」
2020年下半期の市場投入に向けた最後の節目となる冬季試験を終えた。写真は冬季試験のときのもの。(出所:Daimler)
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 高級ミニバンといえば、トヨタ自動車が2019年末に「グランエース」を日本で投入したことが記憶に新しい。3人以上と多数の要人の送迎に使える高級ミニバンは、世界的にも需要が伸びており、日本でも新たな市場に育つ可能性を持つ。グランエースを開発したトヨタ車体は、競合は「メルセデス・ベンツVクラス」くらいしか存在しないとしており、VクラスのEVバージョンとなるEQVにも市場拡大を後押しするとの期待がかかる。

 冬季のハンドリング性能を高められるのは、床下の中央、低い位置に電池を搭載しているため。冬季試験はスウェーデンのアリエプローグ(Arjeplog)で実施しており、気温は-30度に達し、道は凍結し深い雪もあるとても厳しい環境での試験だったとしている。EQVは、北極圏においてさえもテストドライバーの操作に適切に応答したという。

 こうしたハンドリング性能に加えて、ダイムラーが重視したのが、充電に対する振る舞いである。EQVは急速充電機能を備えており、オプションを使うと45分で10%から80%まで充電できる。これは特に旅行時に大きな優位性を持つが、温度に依存せずに信頼性高く機能する必要がある。また同試験からは、EVにとって重要な温度管理について、EQVをより安全で快適なものにし得る知見を得られたとしている。

 EVであることの強みも冬季の快適性の向上につなげている。EQVの運転者は、自宅やオフィスからスマートフォンのアプリ「Mercedes me」を使って出発時間を入力できる。それにより、所望の温度にインテリアを予備加熱し、ウインドーの雪や氷を溶かすことができる。また、EQVを充電設備に接続している状態なら、電池からではなく充電設備から電力を供給することでEQVの走行距離を減らさずに済む。

 電池を床下に配置することで、高級ミニバンにとって重要な車室空間を犠牲にせずに済んでいるともいう。シングルシートやベンチシートを柔軟に追加できる仕様として、6座席のEQVを7座席や8座席に変更可能とするなど、高級ミニバンという市場を意識した設計にしている。