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 文部科学省が推進する、全国の小中学校で全生徒にパソコンを1台ずつ配備する「GIGAスクール構想」政策が始動した。小中学校に在籍する児童・生徒数930万人のうち、パソコンが未整備の約800万人分に対し、2023年度まで3年をかけて環境を整える。まずは2020年度末までに全生徒数の3分の1に当たる300万台分について、パソコン購入を補助する計画だ。

 ただ新型コロナウイルス感染拡大による休校もあり、地方自治体によるパソコン機種の選定や小中学校への配備は事実上、停滞している。全国的に小中学校が再開すれば、パソコン導入は勢いを増す公算が高い。休校によって、遠隔で授業をしたり学習指導をできたりするIT環境の重要性を、政府や教育関係者が強く認識したからだ。

 政府が近くまとめる経済対策では、遠隔学習を支援するためGIGAスクール構想の内容拡充や前倒しが検討項目の1つに上っている。2020年4月1日には、休校が長引く可能性に備え、文科省が緊急措置として教科書をインターネットで公開できるようにする方針を固めたとも伝わった。

1台当たり4万5000円の補助金

 GIGAスクール構想により、パソコンだけでも約3600億円に上る「特需」が生まれるとされる。特需を狙い、OSとクラウドサービスの世界市場で覇権を競う米マイクロソフト(Microsoft)と米グーグル(Google)が日本市場向けの新施策を相次いで打ち出した。OSやクラウドを無償提供したり特別に割り引くだけではなく、これまでの教育向け無償提供の範囲も拡大する。各種施策により教育分野でのOSとクラウドのシェア争いを優位に進める狙いだ。

中国レノボは日本の教育市場向けにマイクロソフトとグーグルのOSを搭載した両方の機種を用意した。写真はグーグルのChrome OS搭載機
中国レノボは日本の教育市場向けにマイクロソフトとグーグルのOSを搭載した両方の機種を用意した。写真はグーグルのChrome OS搭載機
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 2社が「無償」で競うのは、政府による1台当たりのパソコン導入補助額が一律で4万5000円に決められているからだ。OSを含めた教育用パソコン本体は、多くのメーカーがほぼ4万5000円に収まる価格で新製品を発表済みである。

 GIGAスクール構想を実現するには、パソコン本体の購入に加えて、教材の配信や学習結果を共有するクラウドサービス、端末管理の仕組みなどが必要になる。教育でのパソコン活用方法を教員が学ぶ研修やサポートも欠かせない。

 文科省は、各地方自治体がGIGAスクール構想の補助金を受ける要件として、教員のパソコン活用をフォローアップする研修の実施を要件にしている。授業にパソコンをどう活用するかは学校に委ねられている面が多い。教職員向けの研修体制を担保し、パソコン活用が進まない事態を回避したい考えだ。