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 地方自治体が基幹業務システムに使うコストを3割減らす――。

 自治体はこれまで、住民記録や住民税、健康保険などの「基幹業務」において、それぞれの仕事に合わせて情報システムを構築してきた。システムの運用形態も庁舎内へのサーバー設置や単独でのクラウド運用、複数の自治体でのクラウドの共同運用など様々である。

 これに対し、政府は「5年の計」で自治体における基幹業務の標準化と共通クラウド化を進め、コストダウンを図る考えだ。自治体情報システム市場はどう変るのか。

17の基幹業務を標準化

 政府は2020年夏、自治体情報システムのコスト削減を目指して基幹業務の標準化を進めるため、まず「住民記録」の標準仕様書案を公開する計画だ。2019年12月の経済財政諮問会議で公表した「新経済・財政再生計画の改革工程表」に沿って、17の基幹業務の標準化を進めており、住民記録はその第1弾である。

政府が2019年12月19日にまとめた「新経済・財政再生計画 改革工程表2019」から自治体の基幹業務に関連する部分を抜粋
政府が2019年12月19日にまとめた「新経済・財政再生計画 改革工程表2019」から自治体の基幹業務に関連する部分を抜粋
(出所:経済財政諮問会議)
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 現状の自治体基幹業務システムは、各自治体がITベンダーに個別に発注して構築しているため、統一性に欠ける。しかし、政府が音頭を取って自治体間で異なる仕事の手順やデータの様式を標準化すれば、共通のクラウドに載せ替えやすくなる。

 こうした自治体基幹業務のBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を進めることで、政府は2023年における自治体の情報化投資額を2015年と比べて3割減らす考えだ。浮いた予算は住民サービスの充実などに充てることを期待する。

 自治体は総務省が主管するものの、自治体の基幹業務には他省が管轄する業務もある。今回、省の壁を越えてBPRを推し進めるため、内閣府が号令をかけた格好だ。

自治体のシステム投資額は2017年度に4786億円

 総務省自治行政局によると、全国1741自治体の情報投資額の総額は2017年度に4786億円だった。内訳は、人口10万人以上の291自治体が3104億円で、人口10万人未満の1450自治体が1682億円だった。システム運用形態で見ると、2019年4月時点に全自治体の39.3パーセント(685団体)が「単独クラウド」、28.5パーセント(497団体)が複数の市町村で利用する「共通クラウド」、残り32.1パーセント(559団体)が庁内にサーバーを置く「オンプレミス」だった。最も効率的な共通クラウドは30%に満たない。

 おおむね人口20万人以上の「中核市」や70万人以上の「政令市」など、自治体の規模が大きくなるに従って、独自開発したり業務パッケージをカスタマイズしたりした基幹業務システムをオンプレミスや単独クラウドで運用するケースが多いためだ。こうした現状を踏まえ、政府は自治体基幹業務の標準化を進めながら、オンプレミスからクラウドへ、単独クラウドから共通クラウドへとそれぞれ乗り換えを推奨するとみられる。