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 「ソフトウエアの聖地・刈谷」――。2020年3月、デンソーはこんなスローガンを掲げて「第1回マイクロマウス デンソーカップ」の開催を準備していた。目標参加者数は100チーム。初めての開催ながら国内屈指の規模を狙った。マイクロマウスは超小型の自律型ロボット競技で40年以上の歴史がある。残念ながら新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて大会は延期となったが、延期決定までに国内外から多数のエントリーが集まっており、大会成功は間違いなかったと関係者は悔しがる。なぜ今デンソーはマイクロマウスに力を入れるのだろうか。

 「マイクロマウス大会は最初のステップ。メカと制御と人工知能(AI)を駆使できる優秀な技術者を多数、刈谷に集めたい」。こう語るのは、デンソーソフト生産革新部開発体制強化推進室担当課長の山田隆太氏。今回の「第1回マイクロマウス デンソーカップ」の実行委員長で、一連の取り組み全体の仕掛け人でもある。

図1 ソフト生産革新部の山田隆太氏
図1 ソフト生産革新部の山田隆太氏
第1回マイクロマウス デンソーカップの実行委員長。デンソーが開発するソフトウエアの品質を全社横串で統括する活動の傍ら、IoT(Internet of Things)やサイバー・フィジカル・システムといった分野に強い人材の育成と採用活動に取り組む。(写真:上野英和)
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 山田氏が所属するソフト生産革新部は、同社全社横串でソフトウエアを統括する。製品に組み込むソフトウエアの品質向上活動を展開する役割の部署だ。

 実はこの部署にはデンソーの将来を左右するもう1つの大きなミッションがある。IoTやサイバー・フィジカル・システムを開発できる技術人材の採用・育成だ。技術者のキャリアパスを考え、国内外のグループ会社を含め教育コンテンツや支援サービスの検討・展開もしている。

 マイクロマウス デンソーカップの開催はその活動の一環で、優秀な技術者の採用に向けたものだ。地元の刈谷市、デンソー社内を盛り上げる目的もあるが、山田氏の本当の狙いは、大会に優秀な技術者を集めること。社内の技術者の育成にも活用し、マイクロマウスへの取り組みを「メカ、エレ、ソフトの全部が分かる技術者」の獲得と育成につなげる目論見(もくろみ)だ。