全2071文字
PR

 「『vw.OS』などに代表される“ビークルOS”は世界で3方式しか生き残らないだろう」。メガサプライヤーのドイツ・ボッシュ(Bosch)子会社で開発ツールなどを手掛けるドイツ・イータス(ETAS)Presidentのフリードヘルム・ピッカード(Friedhelm Pickhard)氏はこう指摘する。

フリードヘルム・ピッカード氏
フリードヘルム・ピッカード氏
(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 vw.OSはドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)が新たに開発した車載ソフトウエア基盤で、2019年11月に量産を始めた電気自動車(EV)「ID.3」から搭載が始まった。ゆくゆくはVWグループの全ブランドに展開するほか、外販も視野に入れる。

2019年11月に量産を始めたID.3
2019年11月に量産を始めたID.3
(出所:VW)
[画像のクリックで拡大表示]

 ビークルOSは、新しい電気/電子(E/E)アーキテクチャーを前提とする。これまでは車両制御、ボディー、ADAS(先進運転支援システム)、IVI(車載情報システム)といったシステムごとに、ECU(電子制御ユニット)やソフトウエアが分かれていた。今後は可能な限りECUを統合し、ソフトウエアも一本化する方向である。

 具体的にはAPI(Application Programming Interface)を境にソフトウエアを上層と下層に切り分ける。上層は機能層で、下層の違いを意識することなく、APIを通じて機能を実現する。下層がvw.OSなどのビークルOS層になる。例えば、下層のvw.OSが共通でも上層の機能層を変えることで車両ブランド間の独自性を保つ。

「ビークルOSは世界で3方式しか残らない」と主張する
「ビークルOSは世界で3方式しか残らない」と主張する
(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 ビークルOS層は、個々のECUのハードウエアを仮想化するためのハイパーバイザーや車載OS、Adaptive/Classic AUTOSAR、車両制御向け、ボディー向け、ADAS向け、IVI向けの各フレームワークなどで構成する。VWは車載ソフトウエアの内製化を戦略として打ち出しているが、これらのソフトウエア部品は外部から調達し、それらの統合(インテグレーション)を担当するとみられる。

 ピッカード氏によると、ビークルOS層には安全性や信頼性はもちろん、高い性能やサイバーセキュリティーなどが求められ、多額の開発投資が必要になる。このため、世界で生き残るのは、(1)欧州方式、(2)米国方式、(3)中国方式の3方式しかないとの見方を示した。

 (1)欧州方式は、Adaptive/Classic AUTOSARを使う方式で、vw.OSなどが代表例になる。日本の自動車メーカーもこれに近い形になると予想される。(2)米国方式は、米アルファベット(Alphabet)傘下で自動運転技術を開発する米ウェイモ(Waymo)などの方式を指す。(3)中国方式については「詳細は不明だが、米中貿易摩擦の影響から中国が独自方式を打ち出す可能性が高い」(ピッカード氏)と述べた。

 その他の方式は、多額の開発投資に見合う出荷台数を確保できず、「価格が高すぎて受け入れられないだろう」(同氏)と指摘する。

ウェイモの第5世代自動運転車両
ウェイモの第5世代自動運転車両
(出所:ウェイモ)
[画像のクリックで拡大表示]
中国バイドゥ(Baidu、百度)の自動運転プラットフォーム「Apollo」を使った車両
中国バイドゥ(Baidu、百度)の自動運転プラットフォーム「Apollo」を使った車両
(出所:バイドゥ)
[画像のクリックで拡大表示]