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 トヨタ自動車は、電気自動車(EV)の研究開発で中国・比亜迪(BYD)と合弁会社を中国の深センに設立し、2020年5月中をめどに事業を開始する。合弁会社の社名は「BYD TOYOTA EV TECHNOLOGY」(BTET)。出資比率は、トヨタが50%、BYDが50%。董事長には、トヨタ自動車研究開発センター(中国)の高級執行副総経理を務める岸宏尚氏が就任する。従業員は約300人としている。

 トヨタは日本では、マツダやデンソーとEV C.A. Spiritを設立してEVの基盤技術を開発、SUBARUやスズキ、ダイハツ工業、日野自動車、いすゞ自動車、ヤマハ発動機も巻き込み9社でそれを共有している(図1、2)。EV用電池の開発・製造でもパナソニックと合弁会社を設立し、外販を念頭に置いた電池の低コスト化を目指している。

図1 トヨタ自動車にとってのEV C.A. Spiritの位置づけ
図1 トヨタ自動車にとってのEV C.A. Spiritの位置づけ
2019年6月のトヨタの電動化戦略発表会における説明資料の1枚。(撮影:日経クロステック)
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図2 トヨタが2020年代前半の投入を目指すEVのモックアップ
図2 トヨタが2020年代前半の投入を目指すEVのモックアップ
2019年6月のトヨタの電動化戦略発表会で公開された。(撮影:日経クロステック)
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 中国においては、寧徳時代新能源科技(CATL)と新エネルギー車(NEV)用の電池の安定供給と発展進化に向けた包括的パートナーシップを結んでいる。電池システムの新技術の開発やセルの品質向上、電池のリユースとリサイクルも協力することを検討している。今回のBYDとの合弁会社では、EVおよびそのプラットフォーム、関連部品の設計・開発を実施する。

 EVの開発において現時点で最大の課題とされるのが低コスト化だ。ガソリン車と比べて、大まかには電池の分だけ価格が高い。そのため、量産規模の拡大が求められている。ドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)グループやフランス・ルノー(Renault)・日産自動車・三菱自動車の陣営は、グループを挙げてEVの量産規模の拡大を追求しようとしている。

 仲間づくりにも積極的だ。VWグループは2019年1月、米フォード・モーター(Ford Motor)と提携、VWのEV用のプラットフォーム「MEB」をVWグループ以外のFordとも共用する構え。米GMとEV用電池の共用化を進めているとされるホンダは2020年4月、GMが開発したグローバルEVプラットフォームとEV用電池「Ultium(アルティウム)」を基に、ホンダ向けの新型EV2車種をGMと共同で開発することで新たに合意した。

 今回のトヨタとBYDの合弁会社設立は、そうした仲間づくりの一環とみられる。両社は2019年7月、EVの共同開発で合意、トヨタブランドからの2020年代前半の中国市場投入をにらみ、セダンおよび低床SUV(多目的スポーツ車)タイプのEVと搭載する電池の共同開発を進めるとしていた。

 今回の合弁会社の設立は、そこからさらに踏み込む。対象を、特定のEV車両だけではなくEVプラットフォームに、また電池だけでなくEV関連部品に広げる。両者でそれらを共有し、EVの低コスト化を図ろうという狙いが透けてみえる。