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 AI(人工知能)技術を用いたビッグデータ解析などを手掛けるALBERTと東京海上日動火災保険は、ドライブレコーダーで撮影した映像などを基に、自動車事故発生時の状況を再現するシステムを開発した。同システムを使うと、事故の責任割合を自動で算出できるため、責任割合を算出するまでの時間を大幅に短縮できる。

 開発したシステムは東京海上日動が2020年3月に、自社の自動車保険の特約サービス向けに導入した。AIを用いて責任割合を算出するシステムを実用化するのは、今回が初めてという(図1)。

事故の発生から状況の把握までのプロセス
図1 事故の発生から状況の把握までのプロセス
(出所:ALBERT、東京海上日動)
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 ALBERTと東京海上日動が開発した「事故状況再現システム」ではまず、自車内に取り付けたドライブレコーダーが事故によって強い衝撃を受けると、その前後に撮影した約15秒の映像を記録する。衝撃の度合いは、ドライブレコーダーに搭載した加速度センサーで検知する。

 記録した映像はドライブレコーダーから無線ネットワーク経由で、東京海上日動の事故対応を担当する部署に設置されている事故状況再現システムに送る。同システムでは受信した映像の他に、ドライブレコーダーに搭載した加速度センサーやGPS(全地球測位システム)から得られた情報などを基に、事故の状況をパソコンの画面上で再現する。

 再現した事故の状況を基に、事故の責任割合(参考値)を自動で算定する。参考値は、過去の事故における判決事例などを参考にして算出する。この後、東京海上日動の担当者が関係者にヒアリング(聞き取り調査)を行い、責任割合を決める仕組みである(図2)。

事故対応の様子
図2 事故対応の様子
(出所:東京海上日動)
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 従来、事故発生から責任割合を算出するまでに、少なくとも1週間程度の時間がかかっていた。今回のシステムを使うと、「5~10分で参考値を算出できるため、初動が速くなる」と、ALBERTデータソリューション本部で第3アライアンス推進セクションマネージャーの西山和成氏は言う。その結果、契約者への迅速な保険金の支払いが可能になる。