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 国内IT大手が、求められる職務やスキルを明確にし、それらに応じた報酬を払う「ジョブ型採用」を相次いで導入している。日立製作所やNECは2021年度新卒から、データ解析などの高いスキルを持つ人材をジョブ型で採用する。採用面で米グーグル(Google)などの「GAFA」に対抗する狙いだが、入社後の処遇や育成制度の変革も伴わないと人材はすぐに離反しかねない。

国内IT大手が「ジョブ型採用」を続々と採り入れている
国内IT大手が「ジョブ型採用」を続々と採り入れている

新卒で年収800万円超も

 「他社に劣後しない水準にしたい」。日立の進藤武揚人財統括本部人事勤労本部タレントアクイジション部長は2021年度の新卒採用から新たに設ける「デジタル人財採用コース」の報酬水準について、こう力説する。念頭にあるのはグローバルで競合する「他社」である。

 同コースではデジタル領域の研究者やデータサイエンティストを対象に、その職務への配属を確約して採用する。以前から技術系の職種では事業分野や職種を内定時に確約する、「Field Matching」と名付けた採用に取り組んでいたが、今回は職務まで踏み込んで取り決めるのが新しい。⽇⽴が学歴別の⼀律初任給から脱却し、新卒にジョブ型を本格導⼊するのは初めてだ。

 2021年度は日立の新卒採用の1割超に相当する約70人を同コースで採用する。進藤部長は「ジョブ型の人材マネジメントに移行する第一歩になる」と話す。

 日立だけではない。NECも2021年度の新卒採用から、データサイエンスやサイバーセキュリティー、DX(デジタルトランスフォーメーション)ビジネス、AI(人工知能)創薬といった分野でジョブ型を採り入れる。本人のスキルと入社後の役割が合致すれば、報酬は個別に設定する。

 NECによると、大卒1年目の年収は約350万円が標準的。ジョブ型の場合、本人のスキルが高く、NEC側が求める役割とも合致すれば、中途採用の職位での入社となるため「場合によって年収は800万円を超える」(NEC広報)。大卒1年目の標準年収に対して2倍以上の水準だ。

 富士通は2020年度上期中に、新入社員を含めてAI人材などを対象に報酬を個別に決められる制度を導入する予定だ。NTTデータも2018年12月に高度人材を市場価値に見合う報酬で採用する制度を始めている。中途採用が中心だが、新卒も対象外ではない。