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 「(クレジットカード決済インフラである)CAFISの利用料金について、(運営元の)NTTデータから、全ての銀行が同一条件となっているので、料金交渉を行っても費用の引き下げ交渉には応じない方針であると言われている」――。

 公正取引委員会は2020年4月21日、FinTechの競争環境について取りまとめた報告書を公表した。冒頭の一文は報告書に書かれた、銀行からのヒアリング事例である。

公正取引委員会が公表した報告書
公正取引委員会が公表した報告書

 公取委は国内決済インフラとして長く不動の地位を占めるCAFISや全銀システム(全国銀行データ通信システム)にメスを入れ、変革や是正を促すことでFinTechを後押ししたい考えだ。金融サービスへの新規参入が相次ぐなか、公取委が投じた一石は既存の業界構造をどこまで崩せるか。

10年以上変わらないCAFISの利用料金

 公取委が実態調査に乗り出したのは2019年秋のこと。キャッシュレス決済事業者による銀行口座接続などを巡り、新規参入事業者と銀行との間で不協和音がささやかれ出したタイミングだ。改正銀行法によって努力義務化された銀行API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の契約交渉も期待通りには進んでいなかった。

 公取委における当初の関心は、新規参入事業者と銀行との間で健全な競争関係が働いているかだったとみられる。しかし報告書では、金融業界における大手ITベンダーの支配力・影響力にも迫った。

 キャッシュレス決済には、登録した銀行口座から残高をチャージするタイプが多い。チャージ機能は銀行が提供するサービスで実現している。この仕組みを支えているのが、NTTデータが運営するCAFISを活用した「即時決済ゲートウェイサービス」だ。

 公取委によると、CAFISセンターの年間処理件数は2008年度から2018年度で約3倍に、即時決済ゲートウェイサービスは2016年度から2018年度で約6倍に増えている。にもかかわらず、「従量制料金が10年以上にわたって変更されていない」と指摘した。

 加えてCAFIS事業の営業利益率が10パーセント台と全社の営業利益率と比べても高い傾向にある点にも触れた。「利用料金について、交渉を通じて適切に設定されることが望ましい」という認識を示した。