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 黎明(れいめい)期にある日本の産業用ドローン市場において新たなメーカーが誕生した。パソコン生産を手掛けるVAIOだ。ドローンの機体開発などを手掛ける子会社としてVFRを設立し、2020年4月9日に営業を開始した。

 インプレス総合研究所によると、日本の産業用ドローンの市場規模は2020年度に前年度比37%増の1932億円に拡大。今後は産業に特化した機体やソリューションなどが増え、2025年度には6427億円に成長する見通しである。

 VAIOは産業分野におけるドローンの活用促進には業種や業務に最適な機体やソリューションが不可欠だと考え、2018年からドローンの受託製造(EMS)事業を進めてきた。例えば農業ドローンメーカーのナイルワークスや、ドローンの姿勢制御技術の研究開発を手掛けるエアロネクスト向けに製造した実績がある。

ドローンの生産も手掛ける長野県安曇野市のVAIO本社工場
ドローンの生産も手掛ける長野県安曇野市のVAIO本社工場
(出所:VAIO)
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ドローンの生産は水平分業型へ

 VAIOの山本知弘社長は「EMSで一定の経験を積んだため、VFRを設立して産業用ドローン市場に本格参入することにした」と話す。新会社の社長は、新規事業強化を狙って2019年8月にCINO(Chief Innovation Officer)としてVAIOに迎えた留目真伸氏に委ねた。

 留目氏はレノボ・ジャパンやNECパーソナルコンピュータの社長を務めるなどパソコン業界に造詣が深く、SUNDREDのCEO(最高経営責任者)として「新産業共創スタジオ」を運営するオープンイノベーションの専門家でもある。

 VFRの留目社長によれば、産業用ドローン市場は現状、機体の設計・製造から自律制御システムの開発までを1社が手掛ける垂直統合型が中心となっている。だが、今後は政府の後押しを受け、有人地帯における目視外飛行を含めたドローンの社会実装がさらに進む見通しだ。ドローンがいよいよ普及期を迎えると、効率的な生産が可能な水平分業型への移行が必須。コンピューターやロボットの企画・生産を得意とするVAIOグループに勝機があるとみている。

 想定するのは、パソコン生産における海外企業との分業のようなエコシステムだ。VFRは国をまたがった部品調達や製造をコントールするスキルを持ち、長野県の自社工場で各産業の用途に沿った最終製品を組み立てられる点で優位性があるという。