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 テレワークで自宅にいる時間が長くなった分、通信費や光熱費が増えた。Web会議用のマイクやWebカメラといった機器の出費がかさむ――。2020年4月7日に7都府県に発令され、その後全国に拡大した新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言により、感染防止のために在宅勤務を徹底した企業が多い。政府が在宅勤務を呼び掛けた3月中旬からテレワークに移行した企業にとっては1カ月以上、在宅勤務が続いている。

 在宅勤務が長期化するにつれて浮上してきた問題が、テレワークに伴い発生する費用だ。そこで少しでもテレワーク中の従業員の負担を軽減しようと、在宅勤務を支援するための手当を出す企業がスタートアップやWeb系を中心に増えている。

在宅勤務に手当を出すことを表明した主な企業
企業名手当名金額主な用途や目的
grasys在宅勤務手当10万円環境を最善化するためのツール購入や生活必需品の購入など
LINE新型コロナ対応手当月5000円出社に伴うマスクや手指用アルコールなどの衛生用品の購入、水道光熱費や通信費、備品購入など
アジャイルウェア環境改善・腰痛・運動不足解消手当2万円勤務環境の快適にするツールや腰痛・運動不足解消を目的した製品など
インフラジスティックス・ジャパン在宅勤務手当月1万2000円在宅勤務環境の整備、ネットワーク環境や光熱費などのインフラ整備
カオナビ在宅勤務支援金5万円机や椅子、モニター、PC周辺機器、インターネット環境などの環境整備
コネクティリモートワーク手当月1万5000円程度環境整備費、光熱費など
サーバーワークス在宅勤務手当月2万円光熱費や通信費
サイバー・バズオンライン飲み会手当月5000円社員同士のコミュニケーション活性化
ショーケースリモートワーク環境改善手当2万円PC用デスクや椅子、Webカメラなどのほか、リラックス用のアロマや加湿器など
さくらインターネット臨時特別手当、臨時通信手当、通信手当臨時特別手当1万円、臨時通信手当3500円、通信手当月3000円(5月以降)環境整備費、通信費など
ヌーラボテレワーク補助環境整備3万円、光熱費や通信代の補助として月1万円環境整備、通信費、光熱費など
バリュークリエーション在宅勤務手当5000円自宅での勤務環境構築
メルカリ在宅勤務手当6万円(半年分)勤務環境構築やオンライン・コミュニケーションなど
ランサーズリモートワーク手当3万円勤務環境の整備が目的だが用途は自由

一時金は在宅勤務の環境を整えるため

 手当を支払う目的は企業によってさまざまだ。最も多いのが自宅の「業務環境の改善のため」という理由だ。

 社員に対し一時金として一律3万円の「リモートワーク手当」の支払いを決めたランサーズは、「急きょリモートワークを積極的に取り入れることにしたため、自宅の環境が在宅勤務に適していないとの声が社員から上がった」ことを支払いの理由として挙げている。実際に社員からは「勤務用の椅子を購入した」「パソコン用のスタンドデスクを購入した」といった声があるという。

 メルカリも同様だ。緊急事態宣言が出たのに合わせて全社で完全な在宅勤務に移行したのを機に、向こう半年分として6万円の「在宅勤務手当」を支給すると発表した。メルカリは「勤務環境の構築やオンラインのコミュニケーションなどのため」と説明する。

 在宅勤務で環境整備とともに課題になるのが健康管理だ。通勤がなくなることによる運動不足といった問題が浮上する。社員の健康のために2万円の「環境改善・腰痛・運動不足解消手当」を支払うのは受託システム開発のアジャイルウェアだ。手当の用途として、自宅で気軽にトレーニングやフィットネスを行うための器具の購入、オンラインの動画サービスの利用、運動を支援するゲームソフトの購入などを挙げている。