全3192文字
PR

 トヨタ自動車とホンダが、最新の自動ブレーキの低コスト化で激しい競争を繰り広げている。両社は交差点対応の自動ブレーキを、相次いで実用化した。トヨタは新型「ヤリス」に搭載したシステムを6万円に抑えた。一方、ホンダは新型「フィット」に搭載するシステムを7万円台とした。システム価格では、トヨタに軍配が上がった格好だ。ただ、両社はセンサーの低コスト化へのアプローチが異なる。トヨタはセンサーを2個使い、ソフトウエアの更新だけで実現したのに対し、ホンダはセンサーを2個から1個に絞ることでコストを抑えた。

 トヨタ自動車は、2020年2月に発売した小型車の新型「ヤリス」に、同社の先進運転支援システム(ADAS)「Toyota Safety Sense(第2世代):TSS2」の改良版を搭載した。自動ブレーキを交差点の右折時の対向車や、右左折後の横断歩行者に対応させた。

 新型ヤリスは、トヨタの車両開発手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」を適用したBセグメントの小型車だ。日本だけでなく、世界で販売するグローバル車でもある。

 同車の開発責任者で、Toyota Compact Car Company TC製品企画 ZP チーフエンジニアの末沢泰謙氏は、「ヤリスは世界の多くの人々に乗ってもらえるクルマであり、新型車の開発に当たっては安全・安心を重視した」と話す(図1)。

末沢泰謙氏
図1 新型「ヤリス」開発責任者の末沢泰謙氏
「ヤリスは世界の多くの人々に乗ってもらえるクルマ。安全・安心を重視して開発した」という。(出所:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 ヤリスなどの小型車は中大型車に比べて、事故が起こったときに乗員の被害が大きくなりがち。そのため、中大型車と同等の予防安全性能が求められる。ただ、小型車は中大型車に比べて、開発費に制約がある。中大型車と同等のコストはかけにくい。

 そこでトヨタは、コストをなるべく抑えながら予防安全性能を強化するため、ソフトの改良だけでヤリスの自動ブレーキを交差点の右左折に対応させた。自動ブレーキを交差点の右左折に対応させたのは、トヨタ車ではヤリスが初めてである。