全3612文字
PR

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、くしゃみや呼気で出る飛沫について流体解析でシミュレーションを実施した事例が増えている()。シミュレーションツールの米アンシス(Ansys)はくしゃみやマスクについてのシミュレーションの動画を公開。ソフトウェアクレイドル(大阪市)はマスクの効果をシミュレーションで試算し、交流サイト(SNS)などで公開した(関連記事)。それぞれ独自の視点で条件を設定し、人と人との安全距離や、マスク装着の効果などについて知見を得ている。

アンシスが公開している動画

 オランダ・ベルギーの大学とアンシス・ベルギーなどは共同で、歩行者やランナーが感染者だった場合の距離の取り方を明らかにした。ランナーの真後ろにいると、呼気に含まれる微粒子をまともに受けてしまうため、10mは離れる必要があるという。一方で、立ち止まっている場合は2mの「ソーシャルディスタンス」があれば飛沫を直接受けることはないと、米アンシスが確認している。ただし、ソフトウェアクレイドルがマスクの装着効果を確かめた計算は、飛沫がもっと遠くに飛ぶ場合があると示唆する結果になっている。

表 くしゃみ・呼吸による飛沫のシミュレーション
シミュレーション計算者オランダ・アイントフォーヘン工科大学、ベルギー・ルーバン・カトリック大学、アンシス・ベルギー、ベルギー・アビセンナアライアンス米アンシスソフトウェアクレイドル
微粒子の径40~200μm50~400μm1μm
微粒子の初速2.5m/s(9km/h、通常呼吸)17m/s(61.2km/h)10m/s(36km/h)
微粒子発生者の移動歩行(4km/h)、走行(14.4km/h)立ち止まっている立ち止まっている
ツールAnsys FluentAnsys FluentscFLOW
計算法3D RANS(レイノルズ平均モデル)離散粒子モデルLES(Large Eddy Simulation)
主要な結果歩行者の真後ろは5m、ランナーの真後ろは10m距離を置くべき距離1.8mで飛沫は落下、ひじでカバーすれば0.9mで落下マスクの圧力損失効果で微粒子の飛散を強く抑えられる