デンソーは2020年4月30日、2020年3月期の連結決算を発表した(図1)。売上高は前年度比3.9%減の5兆1535億円、営業利益は同80.7%減の611億円だった。減収減益の要因として、新型コロナウイルス以上に響いたのが、自動車部品のリコール対策費用である。トヨタ自動車は、デンソー製の燃料ポンプに不具合があるとして、これまでに世界で322万台のリコールを発表している。
自動車部品のリコール対策費用は2220億円で、新型コロナウイルスの影響とした430億円の5倍以上の損失規模となった(図2)。決算会見でデンソー社長の有馬浩二氏は、品質問題について謝罪したうえで「創業原点に立ち返り、経営の生命線である品質向上に努める」と述べた。
デンソー副社長の山中康司氏は会見で、リコール対策費用の対象となる部品として「トヨタ向けの燃料ポンプ」と明かした。燃料ポンプの成型条件が不適切なため変形することがあり、走行中にエンジンが停止する恐れがある。
トヨタは、同部品を搭載する車両のリコールを実施。トヨタの広報担当者によれば、2020年4月末時点でリコール対象車は「全世界で322万台」という。規模が最も大きいのが北米市場で、トヨタは約183万台をリコール対象車とした。
デンソーは、トヨタ以外の自動車メーカーにも燃料ポンプを納めている。他の自動車メーカーの動向について山中氏は「リコールの決定は自動車メーカーの判断。現時点では分からない」とした。