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 「新型コロナウイルスが経済に与える影響は相当に深刻だ。当初は製造業におけるサプライチェーンの維持など供給サイドの問題だったが、今では完全に消費者の需要サイドの問題に移っている」――。

 日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長は2020年4月27日、日経クロステックのインタビューに応じ、新型コロナが経済全体に与える影響をこう評価した。工業製品の製造拠点が集まる中国から全世界に広がり、「人々のコミュニケーションや移動といった諸活動が止まってしまったことと、グローバルに同時並行で被害が重なっている」ためだ。

 感染が終息して影響がほぼ収まるまでには「2~3年かかるのではないか」と長期戦の見通しを示した。感染の第2波、第3波が起こり「モグラたたき状態になってしまうのではないか」とした。

デジタル変革の重要性を強調する中西会長
デジタル変革の重要性を強調する中西会長
(写真:村田 和聡)
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「8割削減はなかなか難しい」

 感染拡大を防ぐため、政府は最低7割、できれば8割の外出自粛や在宅勤務を求めている。経団連はテレワークの徹底や出勤の削減を「会員企業に再三にわたってお願いしてきた」。2020年4月14日から17日にかけて経団連が会員企業に調査したところ、テレワークや在宅勤務を実施している企業は97.8%に上った。

 ただ、テレワークをしている従業員の割合が7割以上いるとする企業は52.4%、5割未満の企業が27.3%と実施状況には差が見られた。「社会全体を止めるわけにはいかない。インフラや製造ラインなど現場が重要な業務がある。3密防止や手洗いの徹底などをお願いしているが、8割削減はなかなか難しい」。

 印鑑や領収書、請求書が在宅勤務の妨げになっている現状を是正すべきだとの見方も示した。「現在は請求書を郵送して、担当者が開封しに出社しなければならない。社会の仕組みそのもののデジタル化が進んでいないし、様々な合理化が中途半端だとはっきり見えてきた」。

短期、中期、長期でそれぞれ対策

 当面の新型コロナ対策と危機収束後の経済成長に向け、経団連は2020年3月30日、緊急提言を発表した。短期、中期、長期のそれぞれで政府に求める経済・財政措置や経済界が取り組むべき施策をまとめたものだ。中西会長は同提言を引きながら、デジタル変革の重要性を強調した。

 短期的な対策にはまず雇用の維持と事業継続を掲げた。「企業よりも個人を助けるほうを先行すべきだ。なるべく早く取り組む必要がある」。そのうえで企業や業務のデジタル化を提言した。テレワークを導入するための設備投資の助成、初診を含めた遠隔医療の推進、物流ロボットの導入補助、駅構内の人の動きを可視化・分析するデータ活用の促進などだ。