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 米IT大手の2020年1~3月期決算が出そろった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、スマートフォンの販売が低迷し始めた一方、テレワークの拡大によってクラウド事業は堅調だった。スマホの売上高は2020年4月以降さらに減速する見通しで、IT業界にとっての新型コロナ禍はここからが「本番」となりそうだ。

スマホと広告ビジネスに打撃

 米アップル(Apple)の売上高は583億1300万ドルで前年同期比0.5%の微増となり、「iPhone」の売上高は289億6200万ドルで同6.7%減少した。スマホ向けチップセット最大手の米クアルコム(Qualcomm)の売上高は同4.6%増の52億1600万ドルであり、スマホ関連メーカーの売上高はまだ大きく減っていない。

 しかし米クアルコムは2020年4~6月期にスマホの出荷が同30%減少するとの見通しを明らかにしている。アップルは2020年4~6月期の見通しを明らかにしていないが、各国の経済再開の見通しが見えないなか、苦境は続きそうだ。

米IT大手の2020年1~3月期決算(カッコ内は前年同期比増減率、▲はマイナス)
*1:AWSは営業利益
企業名売上高純利益*1
アマゾン・ドット・コム754億5200万ドル(26.3%)25億3500万ドル(▲28.8%)
うちAWS102億1900万ドル(32.7%)30億7500万ドル(38.3%)
アップル583億1300万ドル(0.5%)112億4900万ドル(▲2.7%)
アルファベット411億5900万ドル(13.2%)68億3600万ドル(2.6%)
マイクロソフト350億2100万ドル(14.5%)107億5200万ドル(22.0%)
インテル198億2800万ドル(23.4%)56億6100万ドル(42.4%)
フェイスブック177億3700万ドル(17.6%)49億200万ドル(101.8%)
IBM175億7100万ドル(▲3.3%)11億7500万ドル(▲26.1%)
Qualcomm52億1600万ドル(4.6%)4億6800万ドル(▲29.4%)
AMD17億8600万ドル(40.4%)1億6200万ドル(912.5%)

 スマホと並んで新型コロナ禍の悪影響を受けたのが広告ビジネスだ。米フェイスブック(Facebook)は決算発表のプレスリリースで、米国の都市封鎖(ロックダウン)が始まった2020年3月に広告売り上げの顕著な減少が見られたとしている。

 ただ2020年4月に入って広告の勢いは復調しており、4月第1~3週の売上高は前年同期と比べて横ばいになったとしている。広告ビジネスの比重が大きいフェイスブックの売上高は同17.6%増の177億3700万ドル、米アルファベット(Alphabet)の売上高は同13.2%増の411億5900万ドルだった。

広告の不振をクラウドがカバー

 アルファベットのスンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は決算説明会で、新型コロナ禍が事業に与える影響について楽観的な見通しを述べた。2008年のリーマン・ショックの際にも検索広告は早期に復調したのに加えて、「2008年に比べて我々の事業の多様性が高まっている。最大の例がクラウドだ」(ピチャイCEO)とした。

 アルファベットの2020年1~3月期決算においては、検索広告の売上高が245億200万ドルで同8.7%増、YouTube広告が40億3800万ドルで同33.5%増だった。それに対してGoogle Cloudの売上高は27億7700万ドルで同52.2%増加している。

米IT大手のクラウド事業売上高(カッコ内は前年同期比増減率)
企業名売上高
マイクロソフトの「法人向けクラウド」133億ドル(39%)
アマゾン・ウェブ・サービス102億1900万ドル(32%)
アルファベットの「Google Cloud」27億7700万ドル(52%)

 クラウド事業の売上高で首位に立つ米マイクロソフト(Microsoft)の業績も堅調だった。全社の売上高は同14.5%増の350億2100万ドルだった。

 同社の法人向けクラウド事業の売上高は133億ドルで同39%増えた。同社はクラウド事業の内訳について成長率についてのみ明らかにしており、Microsoft Azureは同59%増、法人向けOffice 365は同25%増、Dynamics 365は同47%増、法人向けクラウド事業に含まれるLinkedInの広告収入は21%増だった。