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 3Dプリンターを製造販売する米Formlabsは2020年5月4日、同社の3Dプリンターで作製した部品の人工呼吸器への利用を米FDA(食品医薬品局)が緊急的に許可したと発表した。3Dプリンター製の部品を睡眠時無呼吸症候群向けの装置に適用すれば人工呼吸器として使えるようになる。同じように日本でも、3Dプリンターで人工呼吸器を作ろうとする動きが出てきた。

 

簡易人工呼吸器の装着イメージ
簡易人工呼吸器の装着イメージ
(出所:新潟病院)
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 米国で緊急的に使用許可されたのは、新型コロナウイルス感染症の拡大により欧米で人工呼吸器が大幅に不足していることが背景にある。通常は患者1人に1台の人工呼吸器を割り当てるが、現在は2~4人の患者で1台を利用するケースもあるという。「人工呼吸器を複数人で利用するなど見たことも聞いたこともない緊急事態の状況だ」と医師で医療機器の実用化を支援する広島大学准教授バイオデザイン部門長の木阪智彦氏は話す。

 減菌処理をせずに複数人で利用すると、人工呼吸器を介してウイルスがまん延するリスクが高まる可能性がある。不足する人工呼吸器を世界の医療現場になんとか届けたい――。人工呼吸器が不足する医療現場で治療にあたるフランス人医師からの要請もあり、2人の日本人医師が立ち上がった。新潟病院の臨床研究部医療機器イノベーション室長の石北直之氏と、木阪氏だ。

 石北氏は3Dプリンターで作れる簡易人工呼吸器を以前から研究してきた。必要最小限の機能で患者の呼吸を支援するものだ。NASA(米航空宇宙局)とも共同研究しており、宇宙空間でも稼働することを確認している。

 簡易人工呼吸器は本体と弁、バネ、圧力を調節するネジなど複数の部品で構成される。3Dプリンターや金型で部品を製造し、組み合わせて使用する。動力として空気圧が必要になるためエアーコンプレッサーなどを用いるが、電気が使えない緊急時は酸素ボンベやフットポンプでも代替できるという。