2019年のPLM(製品ライフサイクル管理)関連のエンドユーザー投資額は順調に増えたが、2020年は見通せない―。PLM関連の調査とコンサルティングを手掛ける米シムデータ(CIMdata)と、同社の日本代表を務めるメタリンク(千葉県松戸市)は、世界の大手企業などを対象に2019年に実施した調査の結果、PLMのエンドユーザー投資額は2019年に前年比7.6%増えたなどと明らかにした(図1)。同社グループは毎年世界5カ所で「CIMdata Market & Industry Forum」を開催しているが、2020年4月14に東京での開催分をオンライン会議に切り替え、調査結果と分析などを説明した。
シムデータ社長の社長のピーター・ビレロ氏は「2019年は予想よりも金額の伸びが下回ったものの、好調に伸びているといえる」とした。サブスクリプションへの移行が進んで一時的なPLMベンダーの収益低下が収まり、ツール、サービスとソフト開発、デジタルマニュファクチャリングといった分野がいずれも伸びた。ただし、細かく見るとツールの中で多用途・多部門向けCAD(いわゆるハイエンドCAD)の伸びが止まった。設計支援中心のCAD(ミッドレンジCAD)とシミュレーションツールの伸びは大きかったという。
エンドユーザーへの調査では、PLMへのアプローチとして「設計データ管理」「設計変更管理」「製品構成管理」「設計プロセス管理」といった基本的かつ伝統的な取り組みに依然として重点が置かれている、とした。ただし「グローバル拠点間のコラボレーション」への取り組みもかなり一般化したという。調査対象のユーザーのうち約3分の2は10年以上前からPLMに取り組んでいるベテランユーザーであり、同じく約3分の2が複数のPLMツールを導入・運用している。PLMへの投資状況の変化は、ここ2年で「増加した」とするユーザーが34%、「減少した」とするユーザーは16%、「横ばい」が50%と、今後も一定の投資増加が見込めるとした。