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 「今期に5000億円の営業利益が確保できれば、これまで企業体質を強化してきた成果と言えるのではないか」──。トヨタ自動車社長の豊田章男氏は、2020年5月12日に開いた2019年度(2019年4月~2020年3月)の連結決算会見でこのように述べ、2020年度(2020年4月~2021年3月)は、これまでの取り組みの成果を出すと強調した(図1)。

豊田章男氏
図1 トヨタ自動車社長の豊田章男氏
(出所:トヨタ自動車)
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 同社は、新型コロナウイルス(新型コロナ)の世界的な感染拡大の影響が2020年末まで続くとみており、2020年度の世界販売台数(連結販売台数)は、前年度に比べて21.8%減少の700万台を見込む。地域別の販売台数は未定とした。売上高は同19.8%減少の24兆円、営業利益は同79.5%減少の5000億円になる見通しである。販売台数の減少が、1兆5000億円の減益要因となる。2020年度の売上高営業利益率は、2019年度の8.2%から2.1%に落ち込む。

 それでも豊田氏は会見で、リーマン・ショックの影響で営業赤字となったときのような危機感をあらわにしなかった。「新型コロナの影響はリーマン・ショックよりもはるかに大きい」(豊田氏)ため、全社を挙げた原価低減などの取り組みがなければ、2020年度は再び営業赤字に転落する恐れがあった。企業体力を強化するこれまでの取り組みによって、5000億円ではあるが2020年度に黒字を確保できる見通しになったことが、豊田氏の“冷静”な姿勢の背景にあるようだ。ただ黒字を確保するため、原価低減の取り組みはより厳しくなるとみられる。

 2020年度の業績は大きく悪化するが、研究開発投資と設備投資の手綱は緩めない。2020年度の研究開発費は、2019年度並みの1兆1000億円を計画する。設備投資額も、2019年度と同等の1兆3500億円を予定する。豊田氏は、「将来の成長に向けた投資のアクセルは踏み続ける」とした。ただ、選択と集中は徹底する。トヨタ執行役員の小林耕士氏は、「投資計画を精査してみると、まだ無駄な部分がある。効果的なものに集中して投資していく」と述べた。

 今後の国内の生産については、コロナの影響があっても300万台体制を死守する。「当社だけでなく、当社に関係するサプライチェーンと、そこで働く人々の雇用を守るためにも、この考えは変えない」と、豊田氏は強調した。