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 新型コロナウイルスの感染拡大により、営業自粛や休業、閉店に追い込まれる飲食店が相次いでいる。帝国データバンクによれば、新型コロナウイルス関連の倒産は2020年5月13日までに全国で147件判明。そのうち飲食店は17件で、旅館・ホテルの34件に次いで2番目に多い。

 「事態が早く収まることを願いつつ、できることをするしかない」。東京都内で焼き肉店を営む男性はこう話す。この店は都の要請に従い通常営業を自粛するとともに、弁当のテークアウトを始めた。多くの店が売り上げや顧客との接点を維持しようと工夫を凝らしている。

相次ぐ「非接触」方式

 そうした状況の中で注目を集めているのが、ネットで注文した商品を店などに設置したロッカーで受け取れるサービスだ。利用者と飲食店の従業員が直接やり取りすることなく、注文から受け取りまで一連の流れを「非接触」で実施できる。

 飲食店向けのモバイル決済システムを提供するShowcase Gig(ショーケースギグ)は2020年4月27日、飲食店向けにShowcase Gigのアプリと連携して開閉するスマートロッカーを使った商品受け渡しサービスの提供を始めた。レシピサイト運営のクックパッドも同月30日、飲食店や総菜店向けにクックパッドの生鮮食品EC(電子商取引)サイトで料理などを販売できるサービスを開始。街中に設置された宅配ボックスを通じて、消費者は自身が注文した商品を受け取れる。

 新型コロナの影響で、イートインだけでなくテークアウトのため店内へ入ることにも抵抗を感じる消費者は多い。どちらのサービスも利用者減に苦しむ飲食店に対し、テークアウト利用の消費者との新たな接点として売り込む形だ。

Showcase Gigが始めた「O:der Locker」のロッカー
Showcase Gigが始めた「O:der Locker」のロッカー
(出所:Showcase Gig)
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 Showcase Gigの新サービスの名称は「O:der Locker(オーダー・ロッカー)」。料金は個別見積もりだが、ロッカー端末は買い切り型で、収納スペースが6~9個の標準的なロッカーで数十万円程度という。別途、アプリを含むモバイルオーダーシステムの固定月額利用料と注文額に応じた従量課金が発生する。既に飲食店や商店街から設置の引き合いがあるという。

 テークアウトの利用者はスマートフォンアプリかWebサイトで来店時間を指定し、事前に注文と決済を済ませる。決済完了後にロッカーを空けるためのPINコードが消費者に届く。店は来店時間に合わせて商品を準備し、店頭に設置した専用のロッカーに入れる。消費者は来店時にPINコードでロッカーを開けて商品を受け取る仕組みだ。