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 新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のパンデミックが収まった「アフターコロナ」の世界では、従来の工場や工事現場のような「労働集約型」の環境は難しくなるだろう。再びパンデミックが起これば、作業者が密集して働く状況自体がリスクとなる。作業者同士の物理的距離を大きくとっても、生産性や稼働率に影響しない工夫が求められる。

清水建設の「重機接触災害リスク低減システム」
清水建設の「重機接触災害リスク低減システム」
熊本県の熊本57号滝室坂トンネル西新設(一期)工事の現場に導入した。作業員と重機の位置情報を管理し、危険と判断すると、光や音で警告する。(出所:清水建設)
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 そこで期待されているのが、協働ロボットのような人と一緒に働ける機械を使って、人と機械が混在して働く自動化環境である。「全てを機械に置き換える完全自動化は生産ラインが硬直化する。人の柔軟性の良さと機械の良さを合わせた緩やかな省人化・自動化が(新型コロナ後に)加速していく」(オムロン執行役員副社長インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー社長の宮永裕氏)とみる向きは多い。

 ただし、その実現に当たっては1つ大きな課題がある。安全の確保だ。というのも従来の「機械安全」の原則は、人と機械を物理的に隔離するという考え方に基づいているからだ。その考え方の延長線上では、人と機械の協働作業環境は構築できない。この課題を解決すべく、世界に先駆けて日本で生まれたのが、ITなどを駆使して人と機械が情報を交換し合い、危険を予知・回避して安全を確保する「協調安全」と呼ぶ概念である。

 実は今、そのアフターコロナ時代の自動化環境に求められる「協調安全」の認証制度を、国際規格にしようとの動きが、日本主導で進んでいる。

安心して現場に導入できる

 機械と人間が協調して働く自動化を今以上に推進するために、「製造や建築分野などで『協調安全』を規格化しようとのニーズが強くなっている」と話すのはセーフティグローバル推進機構(IGSAP)理事の梶屋俊幸氏だ。

セーフティグローバル推進機構(IGSAP)理事の梶屋俊幸氏
セーフティグローバル推進機構(IGSAP)理事の梶屋俊幸氏
2019年の産業標準化事業表彰(主催:経済産業省)において「内閣総理大臣賞」を受賞した際のインタビュー時。(出所:経済産業省)
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 国際標準規格に準拠しているとのお墨付きがあれば、現場にも導入しやすいし、作業者の安心にもつながる。人と機械が協調する新しい自動化を後押しするものとなり得る。

 日本は既に、協調安全の技術・仕組みを取り入れたシステムについての適合審査登録制度を世界に先駆けて展開している。「Safety 2.0」である。IGSAPは「Safety2.0適合審査登録制度」を運用する他、Safety 2.0の普及を推進する技術交流組織「Safety2.0 研究会」などを運営する。