「イメージセンサーでも今後、『リカーリング型』事業を追求していく」――。ソニーグループで半導体製品を手掛けるソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)の染宮秀樹氏(同社 システムソリューション事業部事業部長)は、今後のイメージセンサー事業の方針についてこう語った。
これまでイメージセンサーというハードウエアの販売が中心だったが、これからはソフトウエアやサービスも含めて販売し、顧客との継続的な付き合いを通じて安定的な収益を得る「リカーリング型」事業を志向する。すなわち、「モノ売り」から「コト売り」への転換である。ソニーはゲーム事業などで確立したリカーリングモデルをさまざまな事業に広げてきた。その一連の方策を、イメージセンサーという半導体部品にまで拡大する。
イメージセンサーにおけるリカーリング型事業の強化に向けて、SSSは新しい組織「システムソリューション事業部」を2019年6月に発足させた。同事業部は、SSS内の各イメージセンサー事業部が抱えていたソリューション組織を統合したものである。システムソリューション事業部は、他の各イメージセンサー事業部と密接に連携しているという。
それから約1年後に、リカーリング型事業開拓の先兵としてソニーが送り出したのが、「インテリジェントビジョンセンサー」と呼ぶ、AI機能を搭載した「業界初」(同社)のイメージセンサーだ。撮像部とロジック回路部を積層した裏面照射型で、ロジック回路部にISP(Image Signal Processor)の他、推論処理を実行するソニー独自の演算回路(DSP)や、推論モデルや重み付けのパラメーターなどを格納するSRAMを備える。エッジデバイス向けで、例えばショッピングモールの客の動向や店頭在庫管理、工場内での作業員の状態を検知する用途などを想定する。ロジック回路部のSRAMに格納する「AIモデル」と呼ぶ推論モデルを変えることで、1台のカメラを設置位置や状況、時間などの状況に応じて使い分けられる。