イメージセンサーのリカーリング事業とは
今回のAIイメージセンサーで想定しているリカーリング型事業は大きく2つある。1つは、同イメージセンサーに向けた推論モデルをソフトウエアとして顧客にソニーが販売すること。もう1つは、推論モデルを実装(デプロイ)・再学習するためのソフトウエアをソニーが提供することである。これらソフトウエアやクラウド連携などを含む、「さまざまな場面でのリカーリング収益モデルを検討中」(ソニー)という。こうした推論モデルやソフトウエアの開発で、既に「外のパートナー企業との協業はかなり進んでいる」(染宮氏)と自信を見せる。今後、具体的な取り組みを適宜、発表していくという。
ソニーは、AIイメージセンサーや距離画像を取得できるToF(Time of Flight)センサーといった、センシング用途品の売上比率を向上させていく考え。イメージセンサーの売り上げに占めるセンシング用途品の比率は、2019年度で4%ほど。これを、2025年度で30%にまで高める目標を掲げている。この中に、前述した推論モデルやソフトウエアなど、リカーリング事業の売り上げも含めるという。
コロナ禍をきっかけとした景気後退によって、スマートフォン市場が冷え込み、イメージセンサー事業の主力であるモバイル向けも売り上げの減少が予測される。そんな中、ソニーにとってイメージセンサーにおける新事業の立ち上げが喫緊の課題となっている。同社はこれまで、センシング用途の新しいイメージセンサーの研究開発成果を学会で多数発表してきた。今回のようなリカーリング事業を強化しつつ、こうした研究開発品の製品化が今後加速しそうだ。