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接触確認アプリ、本当に使う?~公益のための個人データ活用とは 6/8 18時

 新型コロナ禍でテレワークが普及する中、電子契約サービスの大手が拡販を急いでいる。国内大手の弁護士ドットコムと世界大手の米ドキュサインだ。契約書などへのなつ印で出社しなければならない企業の不満を商機とみる。

 電子契約サービスを使うと一方が契約書をクラウド上にアップロードし、もう一方が電子的な署名やなつ印を施して契約を成立できる。利用時の二段階認証で本人によるなつ印を証明するほか、電子署名とタイムスタンプで文書の改ざんを防ぐ。物理的な印鑑を押したり紙を使ったりする手続きは発生しない。

電子契約サービス大手2社の概要
サービス名クラウドサインDocuSign
運営企業弁護士ドットコム米ドキュサイン
サービス開始時期2015年2003年(日本では2016年)
利用社数日本国内8万社世界56万社
特徴弁護士との人脈や国内法務の知見を生かしたサービス世界規模のサービス運営基盤、豊富な機能
直近の強化策紙文書の情報を電子データに変換する新サービスNECネッツエスアイと国内9社目の販売代理店契約を締結

 日本の電子契約サービス市場は10種以上のサービスがシェアを競う。弁護士ドットコムが運営する「クラウドサイン」は日本で8万社が利用し、同社の内田陽介社長によれば「日本の電子契約サービス市場で8割のシェアを占める」。

 同社は2020年5月13日、新サービス「クラウドサインAI」を発表した。紙やPDFの契約書に記載された契約締結日や取引金額など8つの項目の内容をテキストデータに変換するサービスだ。テキストデータへの変換には名刺管理サービス大手Sansanが提供する契約書データ作成支援サービス「Contract One」のAI技術を使う。弁護士ドットコムはクラウドサインAIの活用により、紙やPDFの形で残る既存の契約書もクラウドサイン上で容易に管理できるようになると訴求する。

弁護士ドットコムの橘大地取締役クラウドサイン事業本部長
弁護士ドットコムの橘大地取締役クラウドサイン事業本部長
(出所:弁護士ドットコム)
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 クラウドサインの強みは日本最大級の法律相談ポータルサイトを運営する弁護士ドットコムが手掛けていることだと、同社橘大地取締役クラウドサイン事業本部長は話す。弁護士との豊富な人脈や同社自身が持つ法律の知見を生かして開発した。弁護士と組んで電子契約サービスの導入に向けた助言をした実績もある。「紙へのなつ印文化が根付く日本には、特に法律の観点から電子契約サービス導入に懸念を示す企業が多い。弁護士ドットコムがあることで利用者に安心感を与えられている」(橘取締役)。

 クラウドサインを介して契約した文書に証拠能力がある点も、企業の法務担当者にとっての安心材料になる。実際に同文書を証拠として提出した事例があるという。「判例がないのを懸念する法務担当者も、裁判証拠としての利用実績を説明すると導入に前向きになることが多い」(弁護士ドットコムのクラウドサイン事業部アライアンスビジネス部リーガルデザインチームの橋詰卓司氏)。