全1380文字
PR

 「2021年度末までに、固定費を20%以上減らす。そのために、地域や車種などの選択と集中を加速させる」──。三菱自動車CEO(最高経営責任者)の加藤隆雄氏は、2020年5月19日に開いた2019年度通期(2019年4月~2020年3月)の連結決算会見で、現在進めているコスト構造改革を徹底する姿勢を示した(図1)。

加藤隆雄氏
図1 三菱自動車CEOの加藤隆雄氏
(2019年11月に日経Automotiveが撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 三菱自は新型コロナウイルス(新型コロナ)の感染が世界的に拡大する前から、業績悪化に苦しんでいた。その最大の要因は、「全方位の拡大戦略」を柱とする現在の中期経営計画の行き詰まりである。同計画では最終年度の19年度に、売上高2兆5000億円と営業利益1500億円を目指したが、いずれも達成できなかった。営業利益は目標の1/10以下にとどまった。

 同社の企業規模では、世界の主要市場で販売を増やし、売り上げと利益を伸ばす全方位の拡大戦略は現実的ではなかった。拡大路線を歩んだ結果、19年度の固定費は15年度に比べて30%も増えた。「人件費や販売費、一般管理費、設備投資、研究開発費など全ての項目で15年度より増加した」(加藤氏)という。

 収益構造を抜本的に立て直すため同社は、21年度末までに固定費を19年度比で20%以上減らし、15年度の水準に戻す。21年度末までの2年間は、成長よりもコスト削減を優先する構造改革の時期になる。設備投資費や研究開発費など、これまで「聖域」とされてきた費用も削減する計画だ。これにより、「約1000億円のコスト削減を目指す」と加藤氏は明かす(図2)。

構造改革の概要
図2 構造改革の概要
(出所:三菱自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 固定費の削減に向けて全方位路線を見直し、地域と車種の選択と集中を加速させる。市場では主力市場のASEAN(東南アジア諸国連合)に、車種では同社が強いSUV(多目的スポーツ車)などに経営資源を重点的に投入する計画だ。

 日仏3社連合を構成するフランス・ルノー(Renault)や日産自動車との連携も強化する。「3社連合の中では、ASEAN市場で貢献していく」(加藤氏)方針である。CASEなどの新技術については、3社連合から提供を受けることを検討している。