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 「どれだけコストを掛けずに済むか考え抜いた」――。開発を担当した同社先端技術総合研究所環境・分析評価技術部の瓦井久勝氏はこう話す。瓦井氏らが本格的に同センサーの開発を始めたのは2017年ごろ。低コストを考え抜いた結果、金属薄膜の抵抗値変化を測るシンプルな構造に行き着いた。

 開発当初の試作品は今のように小さくなく、名刺ほどの大きさだった。センサーとしての性能を確認した後、チップ部品として扱える1608サイズまで小型化した。この結果「基板に空きスペースさえあれば、どこにでも配置できる」(瓦井氏)使い勝手の良いセンサー部品に仕上がった。

装置のリモート監視には必要なセンサー

 冒頭で紹介したインバーター製品は、このセンサーの追加で腐食の進行度を監視し、レベル1~3の3段階で表示する機能を搭載している。レベル3に達すると、警報を出力してくれる。

 三菱電機が今回の表面実装型金属腐食センサーの開発に踏み切ったのは、特に新興国のFA機器などで腐食性ガス検知のニーズが高まっていたことが背景にある。

 例えば、かつての中国やインドでは、火力発電所が排出する硫黄分の影響により、パソコンのマザーボードに不具合が生じる事案が発生している。大気汚染が深刻な地域では、工場の環境が日本と同じとは限らない。FA機器にとってもプリント基板の腐食対策が課題となっていたという。

 劣化による装置故障を未然に防ぐ1つの手段は定期的な保守点検である。しかし少子高齢化を背景に、現場の保守点検へ人を割くのは今後、ますます難しくなっていく。人による目視検査をIoT(Internet of Things)を使ったリモート監視に置き換えるには、適切なセンサーが必要になる。今回の表面実装型金属腐食センサーはFA機器以外にも用途が広がりそうだ。