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 プリント基板に表面実装するタイプの金属腐食センサーが使われ始めた(図1)。開発したのは三菱電機。いわゆる「1608」サイズのチップ部品である。同社によると、このセンサーを初めて採用した自社製の汎用インバータ「FREQROL-E800 シリーズ」は2019年12月の発売以来、国内で約400台が売れた*1。腐食性ガスがある化学工場や薬品工場のような場所で、装置の可用性を高める用途を狙う。プリント基板に実装し、配線などが腐食で劣化して装置が故障するのを未然に察知する。

図1 金属腐食センサーの外観
赤枠で囲った部分が金属腐食センサー。縦1.6×横0.8mmサイズのチップ部品だ。(出所:三菱電機)
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*1 金属腐食センサーはオプション機能。

薄膜の厚みを変えたセンサーを並列に接続

 一見して、発光ダイオード(LED)とも抵抗器とも見える、このセンサー。最大の特徴はその仕組みのシンプルさにある。

 この金属腐食センサーは金属の薄膜を2つの抵抗体で挟み込む構造をとる(図2)。この薄膜に大気中の腐食性ガスが触れるなどすると、表面から内部に向かって腐食が進行し、金属さびに変化する。さびが増えれば電気抵抗値が増すため、これを計測すれば、腐食の進み具合が分かる。

図2 金属腐食センサーの構造
図2 金属腐食センサーの構造
金属の薄膜を抵抗体1と抵抗体2で挟み込んでいる。詳しい構造は非公表。(取材を基に日経クロステックが作成)
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 電極で挟み込む薄膜の材質を変えると、対応する腐食性ガスの種類も変えられる。例えば、硫化水素(H2S)と単体硫黄(S8)の場合は、薄膜に銀(Ag)系の素材を使う。また、二酸化硫黄(SO2)には銅(Cu)系を、塩素ガス(Cl)にはニッケル(Ni)系を用いるという。

 このセンサーは薄膜の種類だけでなく、厚みにもバリエーションがある。異なる厚みのセンサーを複数個組み合わせて使い、腐食の進行具合を計測できるようにするためだ。具体的には厚みの異なるセンサーを並列に接続して、合成抵抗値を測定する。腐食が進むと厚みが薄い方から劣化で抵抗値が高まり断線するから、その変化を見ると劣化の進行状況を見積もれるというわけだ。