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 ソフトウェアクレイドル(大阪市)は電車の車内を想定し、人の会話で生じる飛沫の挙動を流体解析で計算した。立っている乗客が話したとき、目の前の座席に座っている乗客にどのくらい飛沫が到達するかを計算した。立っている乗客がサージカルマスクを装着している場合は、そうでない場合に比べ、座席の乗客の顔に到達する飛沫が70分の1と大幅に少なくなるなどの結果を得た。

 計算では、ロングシートの通勤用電車を想定。空調のモデルは、実在の電車(JR東日本E233系)の仕様を参照して作成し、車内への流入量を19m3/分とした。窓からの空気の出入りは計算していない。車内で立って話している乗客の前方0.7mの座席に、別の乗客が座っている(図1)。この立っている乗客がつけるマスクは、医療用のサージカルマスクを想定して多孔質体としてモデル化し、圧力損失とともに一定割合で飛沫を捕捉する効果を持たせた。

図1 ロングシートの通勤電車を模擬したモデル
図1 ロングシートの通勤電車を模擬したモデル
座席にいる乗客の前方0.7mに別の乗客(1人だけ赤い)が立って話している想定。(出所:ソフトウェアクレイドル、エムエスシーソフトウェア)
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 飛沫は大きさが十数μm~百μm弱の範囲で、平均直径40μmの水で表現した。立っている乗客は、5秒周期のうち3.5秒間はほぼ500ml/秒の空気を出しながら話し、この際に飛沫1000個が生成すると仮定。これが左右60°、上下30°の範囲に広がっていくとした。座席の乗客は5秒周期で2.5秒ずつ最大300ml/秒の呼気・吸気を生じる。以上の設定で、180秒間の飛沫の動きを計算した。

 その結果、立っている乗客がマスクをしない場合、座席の乗客の顔に138個、手に509個の飛沫が付着したという。一方でマスクをした場合は、座席の乗客の顔に2個、手に11個と飛沫の個数は大きく減った(図2)。

 飛沫の物理モデルはパーティクルトラッキングで、空気抵抗と重量を計算に入れ、乱流モデルは「SST k-omegaモデル」とした。流体解析の計算ツールは「Cradle CFD (scFLOW v2020)」を使った。

図2 座席にいる乗客が受ける飛沫
図2 座席にいる乗客が受ける飛沫
立って話している乗客がマスクのつけているかどうかで飛沫の数が大きく異なる。(出所:ソフトウェアクレイドル、エムエスシーソフトウェア)
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ソフトウェアクレイドルによる動画