全1340文字
PR

 「インド事業では、2030年に500万台という販売計画を達成することよりも、50%以上のシェア(市場占有率)獲得を目指す」──。スズキ社長の鈴木俊宏氏は、2020年5月26日に開いた2019年度通期(2019年4月~2020年3月)の連結決算会見で、主力市場であるインドの事業計画を見直す考えを示した(図1)。

鈴木俊宏氏
図1 スズキ社長の鈴木俊宏氏
(2019年11月に日経Automotiveが撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 販売台数の拡大を目指して20年7月に稼働させる予定だったインドのグジャラート第3工場の操業も延期する。「稼働時期は今後の状況を見極めた上で決める」(鈴木氏)という。インドの自動車市場は、19年第2四半期(19年7~9月)から減速が加速した。そこに、新型コロナウイルス(新型コロナ)の感染拡大が追い打ちをかけた。

 同社会長の鈴木修氏は、「現在、当社のインド事業は危機的な状況にある」と言う。インドでは新型コロナの感染拡大を防ぐため、20年3月下旬からロックダウン(都市封鎖)が行われた。現在、ロックダウンは解除されているが、4月のスズキのインド販売はゼロとなり、5月も1万台程度に落ち込む見通しだ(図2)。

鈴木修氏
図2 スズキ会長の鈴木修氏
(2019年5月に日経Automotiveが撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

 会長の鈴木氏は、「6月にはインドの生産拠点をフル操業に戻したい」というが、現時点で新型コロナの収束時期は見えない。社長の鈴木氏も、「インド市場の回復時期は見通せない」と言う。新型コロナの収束後に、市場が感染前の規模に戻るかどうかも不透明である。こうした状況を受けてスズキは、インド市場において規模を追うのではなく、市場が縮小しても50%のシェアを維持する戦略に転換する。