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 新型コロナウイルスの感染拡大による経済の減速に伴い、政府は電力会社に対して、電気料金の支払い期限の猶予を要請している。日経BPは4月14日、小売電気事業者が約70社集まる会員組織「日経エネルギーNextビジネス会議」の緊急オンラインミーティングを開催。その後、アンケートを実施した。そこから浮かび上がってきたのは、長引く自粛で苦境に陥る法人需要家への対応に悩む新電力の姿だった。

 法人需要家への電気料金支払い期限猶予にどう対応するのか――。この問題に悩む新電力は少なくない。

 これまで資源エネルギー庁は2度にわたり、小売電気事業者各社に電気料金の支払い期限の猶予を要請している。第1弾の要請が出されたのは3月19日。緊急小口資金または総合支援資金の貸付を受けており、一時的に電気料金の支払いに困難を来たしている個人需要家に対して、支払い期限を1カ月猶予するよう求めた。

 大手電力各社は3月19日中に一斉に対応を公表。新電力は連休明けの23日から対応を公表し始め、大半の新電力が要請に応えた(「新電力も電気料金支払い期限猶予に対応、現場は混乱も」参照)。

 問題は4月7日の緊急事態宣言発動を受け、同日にエネ庁が出した第2弾の支払い期限猶予要請だ。第1弾では対象としていなかった法人需要家に対して、「さらなる柔軟な要請」を求めた。

法人需要家への対応は新電力の負担も大きい

 第1弾の要請が対象としていた家庭や個人事業主は、1カ月当たりの電気料金の総額が相対的に安価なため、支払い期限を1カ月延ばしても、新電力の経営へのダメージはさほど大きくはない。だが、法人需要家になれば話は別だ。1カ月の電気料金か数十万円から数百万円に及ぶ場合もある。

 新電力事業は一定の手元資金が必要だ。日本卸電力取引所(JEPX)など電力調達にかかる費用を、需要家が電気料金を支払うよりも先に払わなければならないためだ。

 電力自由化を契機に新規参入した事業者は、潤沢な手元資金があるところばかりではない。電気料金の支払い猶予対象が法人需要家に広がると、新電力自身の経営状況が厳しくなる可能性がある。

 エネ庁が支払い期限の猶予を「要請」としているのも、こうした事情を鑑みているためだ。エネ庁は、「新電力によっては猶予するのが厳しいところもあると認識している。あくまで要請なので、各社の判断で可能な範囲で対応してほしい」(電力・ガス事業部電力産業・市場室)と説明している。

 だが、要請を受けた新電力には、「さらなる柔軟な要請」という文言に対する困惑が広がった。個人向けの場合は支払い期限猶予の対象が明確だったが、今回はなんら基準が示されなかったためだ。

 複数の新電力から、「何を基準に対応するかどうかの判断をすれば良いのだろうか」、「フタを明けてみたら新電力の対応状況に大きなばらつきがあるかもしれない。これは新電力業界全体がマイナスのイメージを持たれる可能性があるのではないか」という懸念の声もあった。

 そこで、小売電気事業者の会員組織である「日経エネルギーNextビジネス会議」 は4月14日、緊急オンラインミーティングを開催。「さらなる柔軟な要請」への対応をテーマに、約60人の新電力関係者がオンラインで問題意識を共有し、意見を交わした。