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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、対話アプリ「LINE」によるオンライン診療を導入する医療機関が増えている。2020年4月からの時限的な規制緩和を受け、院内感染リスクの低減につながるオンライン診療を導入する医療機関が増加。患者にも医療者にもなじみがあり使いやすいツールとしてLINEが選ばれた格好だ。LINEの子会社で医療事業を手掛けるLINEヘルスケアは、同年夏にもオンライン診療事業に本格進出すると表明。国内だけで8400万人という膨大なアクティブユーザーを生かし、新型コロナを機にパンドラの箱が開きつつある巨大なオンライン診療市場で一気に足場を固める戦略は吉と出るか。

初診のオンライン診療解禁で直ちに態勢整備

 これまでほとんど実施されていなかったオンライン診療が一気に広がったのは、厚生労働省が4月10日に出した事務連絡で、新型コロナが収束するまでの「臨時的措置」としながらも初診から電話やビデオ通話によるオンライン診療を認めたことがきっかけだ。

 ちょうどこの頃は東京都内の1日の新規感染者が100人を上回るようになり、軽症者の療養を病院からホテルへ移し始めるなど、医療体制の逼迫が懸念されていた時期だ。東京都内の内科医院「MIZENクリニック豊洲」「同 市ヶ谷」は10日の事務連絡を受け即座に動き、週明けの13日にはLINEのビデオ通話によるオンライン診療の実施態勢を整えた。オンライン診療を希望する患者は同院のWebサイトに設けられたGoogleフォームに記入して申し込み、LINEで同院のオンライン診療専用のアカウントを「友だち」として追加する。支払いにはLINE Payなどを使う。

 同院は以前からかかりつけ患者の再診を電話で実施していたが、3月下旬から新型コロナウイルス感染を疑う患者の来院や相談が増加。相談の電話だけで1日10件を超えることもあった。「発熱相談に医師が電話で対応すると1件当たり20~30分かかる場合もある。診療報酬も付かず、通常の外来も止まってしまっていた」(同院の田沢雄基理事長)。同院は以前にオンライン診療の専用ツールを導入していたが、新型コロナ以前は患者ニーズに合わなかったほか、スタッフにとっても使いづらく、実際に使用する機会は多くなかった。

医師にとっても使いやすかったLINE

 それらの事情から、初診のオンライン診療が解禁されてすぐに診療態勢を整える必要があった。こうしたときにLINEならば、患者もなじみがあり使いやすいと考え採用したという。「患者にとっての使いやすさではLINEに勝るツールはない。オンライン診療を受けるために、使い慣れないアプリをダウンロードして登録するのは、体調が悪い患者にとってハードルが高い」(田沢理事長)。