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 「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)の新規投資がほぼ完了し、孫さんが“いけいけどんどん”だった(2019年前半までの)ソフトバンクグループが一番心配だった。今は慎重さを取り戻している。振り返ってみれば、あの“大やけど”が良いきっかけになったのではないか」。

 2020年5月時点のSBGに対して、大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストはこう評価する。同氏の言う「大やけど」とは、SBGが出資するシェアオフィス「ウィーワーク」運営の米ウィーカンパニー(WeCompany)で2019年に顕在化した経営難と巨額の評価損を指す。

赤字とコロナ禍のダブルパンチでも下がらぬ株価

 9615億7600万円――。ウィーをはじめとする出資先企業の多くが企業価値を目減りさせた結果、SBGは2020年3月期連結決算(国際会計基準)で創業以来という巨額の最終赤字を計上した。5月18日の決算発表より前、春先から「政府も経営状態を気にしているようだ」(業界関係者)などと、SBGの先行きを危ぶむ見方が広がっていた。

2019年3月期の決算会見で10兆円ファンド「第2弾」の設立をぶち上げた孫正義ソフトバンクグループ会長兼社長だったが……
2019年3月期の決算会見で10兆円ファンド「第2弾」の設立をぶち上げた孫正義ソフトバンクグループ会長兼社長だったが……
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 だが、足元で起こっているのは、業績不振に関わらず株価がせり上がる現象だ。3月19日に一時2609円まで下落していた同社の株価は3月23日、自社株式取得および財務基盤の安定化に向けた最大4兆5000億円の資産売却プログラムを発表すると、一時4242円まで上昇した。

 その後しばらくは3000円台後半と4000円前半でもみ合ったが、4月中旬以降は、新型コロナウイルス禍で世界的な株安傾向が続くなかでも堅調に推移した。5月29日の終値は4832円だった。

 背景にあるのは最大4兆5000億円とぶち上げた資金売却プログラムの「有言実行」だ。既に中国・アリババ集団の株式を売却して1兆2500億円の現金を調達し、通信子会社ソフトバンクの株式2億4000万株も3102億円で売却した。SBGのソフトバンクに対する株式保有率は5ポイント減って62.1%となり、年約2700億円あったソフトバンクからの配当収入は200億円ほど減る。