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 国内IT大手4社の2020年3月期連結決算(国際会計基準)が2020年5月27日に出そろった。全社の業績で見ると、増収増益を確保できたのはNECのみで、富士通は減収増益、NTTデータは増収減益、日立製作所は減収減益と色が分かれた。ただ、ITサービス事業で見ると、各社とも国内を中心とする旺盛なIT投資需要に支えられて堅調に推移した。

 ただ今期(2021年3月期)は富士通とNTTデータが業績見通しの公表を見送るなど、新型コロナウイルスの感染拡大に影響による先行きの不透明感が色濃く出ている。各社の2020年3月期決算を振り返ろう。

NECと富士通は営業利益が大幅改善

 NECは増収増益で、売上収益が前の期比6.2%増の3兆952億円、調整後営業利益は同108.5%増の1458億円に拡大した。2019年3月期に計上した構造改革などの一過性費用がなくなったことやビジネス向けパソコンの特需などが営業利益を押し上げた。

IT各社の2020年3月期連結決算(国際会計基準)
*1:NECと日立製作所は調整後営業利益
企業名事業分野売上高(前期比増減率)営業利益(前期比増減率)
NEC3兆952億円(6.2%)1458億円(108.5%)
NTTデータ2兆2668億円(4.8%)1309億円(▲11.4%)
日立製作所8兆7672億円(▲7.5%)6618億円(▲12.3%)
内訳)ITセグメント2兆994億円(▲1%)2494億円(8.3%)
富士通3兆8577億円(▲2.4%)2114億円(62.4%)
内訳)テクノロジーソリューション3兆1632億円(1.3%)2485億円(32.2%)

 セグメント別で見ると、売上収益が最も伸びたのは「社会公共」だった。自治体や医療向けのITサービスを中心に成長し、売上収益は同13.4%増の3246億円となった。5G(第5世代移動通信システム)導入を見据えた固定ネットワーク整備などが好調で同10.8%増の5098億円となった「ネットワークサービス」や、ビジネス向けパソコンの更新特需で同9.7%の5487億円となった「システムプラットフォーム」も業績をけん引した。

 富士通は減収増益だった。売上収益は同2.4%減の3兆8577億円、営業利益は同62.4%増の2114億円だった。デバイス事業の譲渡などの事業再編や新型コロナの影響などがマイナス要因となったが、SI(システムインテグレーション)事業など「本業」が好調に推移した。

 SIやシステム製品販売を含むセグメントである「テクノロジーソリューション」の売上収益は同1.3%増の3兆1632億円、営業利益が同32.2%増の2485億円と増収増益。同セグメントにおける、システム構築など「ソリューション/SI」事業の売上収益が同9.4%増の1兆2117億円とけん引した。

NTTデータは31年連続増収、日立はLumada堅調

 NTTデータは増収減益で、売上高が同4.8%増の2兆2668億円、営業利益は同11.4%減の1309億円に終わった。海外の低採算事業を見直したことで減益となったが、国内外の受注は伸び、売上高は1988年の創立以来、31期連続で増収を記録した。

 セグメント別では「法人・ソリューション」が好調だった。製造業向けやペイメント向けサービスなどが拡大して売上高が同11.1%増の5886億円となった。「公共・社会基盤」も好調で、中央省庁や通信向けなどのサービスが拡大して同4.2%増の5002億円となった。

 日立は減収減益に沈んだ。売上収益が同7.5%減の8兆7672億円、調整後営業利益は同12.3%減の6618億円だった。日立金属や日立建機など子会社の不振が響いて減収減益となったが、システム開発やソフトウエア、ハードウエアの販売・保守などを含む「ITセグメント」が業績を下支えした。

 同セグメントの売上収益は同1%減の2兆994億円の減益となったものの、調整後営業利益は同8.3%増の2494億円と過去最高益を記録した。同社が経営資源を集中するIoT(インターネット・オブ・シングズ)事業の「Lumada」も売上収益が同8%増の1兆2210億円と堅調に成⻑した。