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 いすゞ自動車とユーグレナのバイオ燃料開発。2013年1月、いすゞ社内コンテスト後のアプローチによって両者は出会い、その後、実現に向けて急激に議論を加速させる。そんなある日、ユーグレナの技術開発陣の「軽油からの完全置き換えを目指す」という言葉に対し、いすゞ小林の頭にはある不安がよぎった――。(本文は敬称略)

ユーグレナが開発したバイオディーゼル燃料のサンプル(出所:ユーグレナ)
ユーグレナが開発したバイオディーゼル燃料のサンプル(出所:ユーグレナ)
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 これまでの軽油と完全に置き換えられるということは、いすゞはエンジンの調整が不要になり技術⾯では楽ができる。⼀⽅で、軽油で動くどのエンジンにも使えることになり、それは協業相⼿がいすゞである理由を失うことを意味した。両社で苦労して実現したところで、他の商⽤⾞メーカーにも簡単に供給できてしまうからだ。

 このままでは、いすゞの社内説得は難しい。そこで、⼩林は考え⽅を変えた。いすゞが同バイオ燃料を独占して使うのではなく、いかに燃料のコストを下げていくのかに注視すべきではないか。

 あらゆるディーゼルエンジンに使える燃料ということは、いすゞがこれまで販売してきた既存⾞両にもそのまま使える。そして、他社を含めた世界中のディーゼルエンジンに供給を増やせば、燃料のコストは量産効果で下げられる。将来的に、同バイオ燃料がもたらす環境貢献は地球規模のものになる。このメリットを推すことで、⼩林はいすゞ社内の賛同を集めることに成功した。

実証プラント建設へ

 ⼀連の開発⼯程は終盤を迎え、いよいよユーグレナは燃料の製造に向けて動きだす。横浜市にバイオ・ジェット・ディーゼル燃料の製造実証プラントを建設し、2018年秋に試運転を開始した。

 しかし、当時のユーグレナの本質は“ミドリムシ屋”である。バイオ燃料の研究には取り組んでいたものの、プラント建設に関する知見は乏しかった。⽯油精製と似た製造プロセスが必要なバイオ燃料は、運⽤⾯でも技術的な難易度が⾼い。⽯油プラントの運転員といった特殊なスキルを持つ人材が不可欠であった。

 「当初、燃料製造は全くうまくいかなかった。試⾏錯誤した結果、いつの間にか6年が経過していた」

 ユーグレナ バイオ燃料事業部部⻑代理の江 達は当時をこう振り返る。

 同社が採⽤する製造技術は、2015年に⽶⽯油⼤⼿のシェブロン(Chevron)系エンジニアリング企業からライセンス供与を受けたもの。複数の⼯程を組み合わせることで、バイオ燃料を製造する⼤きなプロセスを成していた。

 分割した各⼯程では予想通りの結果が得られても、⼀貫したプロセスで連続的に運転すると、想定できないようなトラブルが多発した。それでも、ユーグレナは石油精製のプロ人材を迎え、工程の見直しを繰り返すことで改善を続けていった。

ユーグレナは横浜市にバイオ・ジェット・ディーゼル燃料の製造実証プラントを建設し、2018 年秋に試運転を始めた。現状、同プラントではミドリムシと廃食油を組み合わせてバイオ燃料を製造している(出所:ユーグレナ)
ユーグレナは横浜市にバイオ・ジェット・ディーゼル燃料の製造実証プラントを建設し、2018 年秋に試運転を始めた。現状、同プラントではミドリムシと廃食油を組み合わせてバイオ燃料を製造している(出所:ユーグレナ)
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